2007年3月28日 (水)

フランス大統領選挙、ネットとEUと

ネットと選挙に関しては、アメリカで先の中間選挙ではYoutube上の映像が大きく取り上げられたりした。また韓国でもいろいろあったような。フランスではどうなるのだろうか。

(以下、産経新聞の記事より引用)
支持拡大狙いネット利用 仏大統領選、有権者とチャットも

ホームページで有権者とチャットしたり、3次元仮想空間に“選挙事務所”を開設するなど、フランス大統領選の候補者がインターネット上での選挙運動に力を入れている。支持者拡大には直結しないとの見方もあるものの、ネット時代の選挙の在り方を占う意味で注目されそうだ。

保守系与党、国民運動連合(UMP)のサルコジ氏、最大野党、社会党のロワイヤル氏の有力2候補はことし年頭の演説の場として、ともに記者会見場ではなくネットを選んだ。サルコジ氏は党のホームページで「私が夢見るフランスではすべてが可能になるはずだ」と、ロワイヤル氏は自身の選挙用ホームページで「あなた方と大統領行動計画を一緒につくりたい」とそれぞれビデオを通して訴えた。

中道、フランス民主連合(UDF)議長のバイル氏も1月8日、選挙運動用にホームページを開設。極右、国民戦線(FN)党首のルペン氏も2月、ホームページ上で、立候補に必要な市町村長ら500人分の推薦署名を集めるための呼び掛けを行った。(2007/03/27 17:40)(引用終わり)

ベルリンにおけるローマ条約50周年の祝祭、ハイライトはEU憲法にはなく先駆的なルール作りをEUでといったようなメルケル首相の発言だったのだろうか。小生のようなド素人にはよく分からないが。しかし、それとは裏腹にフランスではEU批判に関して苦言が出るほどの状況になっている。

(以下、ロイター通信の記事より引用)
仏大統領選、ユーロやEUへの批判は危険=アルムニア欧州委員 (ロイター)

[パリ 26日 ロイター] アルムニア欧州委員(経済・通貨問題担当)は26日、フランスの政治家が大統領選挙を控え、選挙運動のなかでユーロ通貨と欧州中央銀行(EU)を批判していることについて、ユーロや欧州連合(EU)への批判は不当で正当化されるものではなく、危険だとの認識を示した。

アルムニア委員は、仏ルモンド紙で「大衆に向けた選挙演説のなかでユーロに対する批判が強まっている」と指摘し「このような姿勢は不当で正当化されるものではなく、危険だ」と述べた。

委員は、各国が、自国の経済問題の責任を他に負わせようとするのではなく、競争力を高めるための構造改革に注力すべきだとの考えを示した。

そのうえで、ドイツ経済の回復がフランスの輸出を支援するはずだが、それで輸出業者が直面している構造的な問題が解決されるわけではないと述べた。[ 2007年3月27日7時35分 ] (引用終わり)

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2007年3月24日 (土)

EUですら、なのだから

ローマ条約から50年、条約の名前は変わることもあるらしく、マーストリヒト条約締結に伴い、欧州経済共同体設立条約から欧州共同体設立条約になったとかならないとか、ド素人の小生はよく覚えていない。ということはEuratom条約もまた50年なのだろうか。とりあえず、EUの前身となるEECが生まれる元になったということぐらいしか覚えていない。

そんな節目に毎日新聞にEUの議長国ドイツのシュタインマイヤー外相の評論が、産経新聞にはEUの現在に関する記事が掲載されている。読んでて感じるのは、「東アジア共同体」なるよくよく考えてみればその枠組み自体が曖昧模糊とした構想への壮大な感じと違和感。

(以下、毎日新聞の記事より引用)
欧州連合:議長国ドイツの外相が寄稿「EUが50歳に」

欧州連合(EU)は25日、前身の欧州経済共同体(EEC)設立を決めたローマ条約の調印50周年を迎える。EU議長国ドイツのシュタインマイヤー外相は「EUが50歳に」と題する評論を毎日新聞に寄稿した。(訳・在京ドイツ大使館)

◇   ◇

EU50歳の誕生日は比類なき成功物語である「欧州統合」を振り返る機会となる。この50年に欧州の人々が達成した成果は私たち皆が誇りにできるものだ。

平和、豊かさ、安定は最大の成果であり、人々に具体的な恩恵をもたらした。欧州の東西分裂が克服されたことは極めて重要だ。新規加盟国が加わり、民主主義と「法の支配」の定着が大きく進んだからだ。自由を希求する中・東欧の人々の意思がなければ分裂の克服は実現しなかった。

もう一つの成果は世界に類例のない「協力のあり方」が発展したことだ。EUは民主主義と「法の支配」を基盤とし、域内協力は加盟国間における権利と義務の平等、透明性と補完性という原理を旨とする。他地域での協力のあり方の範となり得る。

欧州の土台を成すのは共通の価値観だ。すなわち人間の尊厳、自由と責任、連帯、多様性と寛容、他者への敬意である。EUは共通経済圏にとどまらず、価値観を共有する価値共同体だ。共通の価値観によって立つからこそ欧州は政治単位として機能し得る。

多大な成果にもかかわらず、ここ数年、EUに対する市民の信頼が低下した。「欧州統合に対する支持の拡大」は、ドイツがEU議長国を務める今年前半の目標の中心にすえられた。EUは21世紀の課題に対処できることを実証していかなければならない。どの加盟国ももはや一国だけでは豊かさと安全を維持できない。ましてや、グローバリズムのあり方に積極的に働きかけていくのは到底無理だ。

今月8、9の両日開かれた首脳会議でEUは市民にとって重要度の高い分野で政治的意思を形作る力を発揮できることを証明した。温暖化防止とエネルギー政策は人々の将来にかかわる極めて重要な分野であり、温暖化の危機は私たちが一致協力することなしには解決できない問題の一つだ。

欧州共通外交・安全保障政策の拡大にも期待が集まっている。欧州外交は平和と正義、自然環境の保護を一貫して追求するものでなければならない。内務・司法分野ではテロ・犯罪の防止に向けた共同の取り組みと、人権・公民権の尊重との均衡を図る。不法移民問題も共通の解決策が必要だ。

欧州を一つにまとめているものは何か。25日にはこの観点を中心にすえ、欧州の結束と一体感を発信する。直面する課題に力を合わせて対処し解決していこうという明確なメッセージだ。

欧州は自信を持ってしかるべきだ。力を合わせれば自らの将来を自律的に方向付け、積極的につくり上げていくことができる。そのために市民の支持と参加が必要だ。力を合わせて欧州の成功を可能にしたい。毎日新聞 2007年3月24日 3時00分(引用終わり)

(以下、産経新聞の記事より引用)
EUの原点 ローマ条約50周年 統合欧州、曲がり角

拡大・深化が足踏み

【パリ=山口昌子】欧州統合の基盤となったローマ条約が調印されてから25日で50周年を迎える。当日は、欧州連合(EU)加盟27カ国の首脳が議長国ドイツの首都ベルリンに一堂に会し、「ローマ条約50周年」に関する宣言を発表するなど、域内人口約5億人に膨れ上がった「拡大欧州」にふさわしい盛大な式典を催す。「統合欧州」を印象付けるため、欧州単一通貨、ユーロの記念硬貨も発行される。だが、統合、拡大の要とされながら暗礁に乗り上げた欧州憲法批准作業が象徴するように、統合の深化や加盟国拡大への懐疑論も噴き出している。統合50歳の節目は期せずして、曲がり角に立つEUを見せ付ける皮肉な結果ともなっている。

「もしEUが存在していなければ、欧州はどうなっていたか」。フランスで今、盛んに議論の対象になっている命題だ。

回答は、「国境で輸送トラックが(税関手続きのため)長蛇の列を作る」「携帯電話が自分の国でしか使えない」「旅の先々で換金する必要がある」「『ポーランドの配管工』(移民労働者)が来ない」などである。

確かに、欧州は単一市場の出現でヒト、モノ、カネ、サービスが自由に行き交うようになった。ユーロはすでに13カ国で使用可能だ。ポーランドなど中・東欧10カ国の加盟で、労働力の往来も一段と活発になっている。

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1957年3月25日、「欧州人の絶え間ないより密接な団結」をうたうローマ条約の調印式に出席したのはフランス、ドイツなど6カ国だった。

これに先立つ50年5月9日には、時の仏外相、ロベール・シューマンが「無駄な言葉は論外だ。行動、果敢なる行動だ」と、6カ国に欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)の設立を呼びかけている。

シューマンが感化を受けた仏実業家で欧州統合の提唱者、モネは、第二次大戦の戦火のつめあと深い欧州の復興には、敗戦国ドイツの参加が不可欠だと考えた。そして、この戦争の道具だった仏独の石炭、鉄鋼を共同管理下に置くという発想の根底には、欧州を再び戦火にさらさないとの強い政治的意思が込められていた。2人が「欧州統合の父」と呼ばれるゆえんだ。

ECSCの中核を成した仏独両国は当然、ローマ条約で誕生した欧州経済共同体(EEC)を、欧州共同体(EC)、そしてEUへと発展させていく牽引車となった。ベルギーのブリュッセルに本部を置いたのは、小国で影響力や野心が少ないとの判断からだった。

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そのブリュッセルはしかし、今や、人口100万のうち30%をEU関係者など外国人が占める「欧州の首都」へと変貌(へんぼう)し、そこから発されるEU規定が加盟国の国内法に優先する割合が増えている。

加盟国間の対立や摩擦も生じ、共通農業政策をめぐる英仏対立は年中行事だ。共通外交・安全保障政策での域内不一致もイラク戦争への対応などに端的に表れている。

「ブリュッセル」に対する不平、不満、不安が表出したのが、フランスとオランダという2つの原加盟国での欧州憲法批准の否決だっただろう。

サルコジ内相、ロワイヤル元環境相という次期仏大統領選の有力候補による欧州中央銀行(ECB)批判も、「すべての不幸はブリュッセルからやってくる」といった国民感情を反映している。

トルコの加盟問題への反対が加盟国の草の根レベルで根強いのは、欧州大陸にもキリスト教文化にも属していない同国の加盟でこれ以上の混乱を招きたくないとの危機本能からでもありそうだ。

ユーロは米ドルと肩を並べるようになったが、加盟国の約半数の14カ国がまだ導入していない。拡大で導入条件を満たさない国が増える一方、英国のように国家主権を侵害されたくないとの意識が強い国もあるからだ。

ルクセンブルクのユンケル首相が「域内住民の50%がもっと欧州を、と望み、50%がもうたくさん、と考えているところに問題がある」と指摘しているように、欧州は拡大へ、深化へとひた走り続けた後で足踏み状態に陥っているようにみえる。(2007/03/24 01:42)(引用終わり)

(以下、産経新聞の記事より引用)
ローマ条約50周年 新加盟続々“温度差”も

【ベルリン=黒沢潤】欧州連合(EU)は2004年以来、東欧など12カ国にも「統合の翼」を広げたことで、その性格を変えつつある。「(15カ国時代に比べて文化、宗教、経済面で)『異質』な者同士の集まりとなり、アイデンティティーの危機にすら直面している」(ドイツのシンクタンクCAPのベティーナ・タールマイヤー研究員)のが実情だ。

EUが冷戦終結後、ソ連のくびきから解き放たれた東欧諸国を組み入れたことは、欧州の政治的安定や経済発展といった観点から意味があった。

だが、ポーランドが04年に欧州憲法条約に「キリスト教の伝統」をうたうよう唱えて政教分離の国々と対立したことでも明らかなように、価値観をめぐる“温度差”が徐々に表面化しつつある。

経済面でも、新・旧加盟国の違いは歴然としている。EUの経済成長率に占める新規加盟国の貢献度はわずか5%に過ぎず、巨額の補助金がこれらの国に流れることへの不満もくすぶっている。

1月に加盟したルーマニアとブルガリアは国内の機構改革に追われ、EUに今後の戦略を提示できる状況にはない。外から見れば強力な組織に見えるEUもこうした国々を抱え、「内部は弱体化しつつある」(政治専門家)との見方もある。

加盟当時、約40年ぶりの「欧州回帰」に沸いた東欧諸国の側にも不満は募る。域内での自由労働が認められないなど、加盟の恩恵を十分、感じることができないためだ。

冷戦後、やっとソ連の下から独り立ちした東欧諸国は、内政への「ブリュッセル」からの横やりに困惑気味だという。独ブランデンブルク応用科学大のウルリヒ・ブラッシェ政治学教授は、「東欧では『モスクワからブリュッセルの独裁主義に変わっただけだ』との声も出ている」と話す。

「これ以上の拡大は、『EUの顔』の問題にかかわる」(ミヒャエル・クライレ独フンボルト大教授)との指摘もあるように、EUは「拡大」よりも「深化」に重きを置いていく可能性が高い。(2007/03/24 01:54)(引用終わり)

(以下、産経新聞の記事より引用)
ローマ条約50周年 仏独主導と一線 英なお懐疑姿勢

【ロンドン=蔭山実】後発の加盟国、英国では、欧州統合に懐疑的な風潮が今も根強い。「親欧州」を掲げたブレア政権も統合を主導するフランスやドイツとは一線を画し、イラク戦争の共闘を通じて、伝統的な対米重視路線に転じた。「国家間協力」を下地にした英国流の欧州観は簡単には薄れそうにない。

英国は、ヒース保守党政権下の1973年に欧州経済共同体(EEC)に加盟した。ローマ条約から十数年たち進展する市場統合に乗り遅れ、欧州で孤立しかねないとの懸念があったといえる。

サッチャー保守党政権は市場統合に理解を示しても、経済通貨統合と政治統合には反対した。

ブレア労働党政権はそうした政策を転換させたとはいえ、欧州単一通貨ユーロの導入は、2003年に見送ったままだ。

サッチャー時代の1980年代に断行された民営化と自由化で英国経済は立ち直り、「強いポンド」と内需拡大に支えられた好景気が続く中、ブレア首相は経済界中心のユーロ懐疑派に配慮しているとされる。2006年に「拡大欧州」の基本法となる欧州憲法が挫折したことで、導入はさらに遠のいた印象が強い。

ブレア首相はグローバル化の中、自由競争に国家の生き残りをかける米国流の政策を訴え始め、それが、福祉を優先させる仏独との新たな溝を作る結果になっている。

首相の後継者として最有力視されるブラウン財務相も首相以上に自由市場を推進して、英経済の競争力強化を図り、最大野党の保守党も、サッチャー首相以来の欧州懐疑姿勢を崩していない。いずれが政権を取っても英国が今以上に欧州寄りになることはなさそうだ。

ローマ締結調印50年を機に、英紙フィナンシャル・タイムズが行った世論調査で、EUで連想するのは「官僚」だとする回答が、英国では主要加盟国中、最高の38%を占めた。仏独主導で国の針路が決まることへの嫌悪感はなお強いのである。(2007/03/24 01:50)(引用終わり)

東アジアサミットに参加するすべての国が共通する価値観など存在しない。宗教・文化・習慣・人種・気候も多様、経済規模もビジネス環境も全く違えば、政治体制も著しく異なっているし、EUとくらべて人口規模は桁違いに大きい。東アジア共同体のブリュッセルなるものをどこにできても、きっとEU以上の摩擦を抱えることになるだろうし、EU並にかちっとした強制力のある意志決定をするとすれば費やす労力は途方もないものになるだろう。下手をすれば、その意志決定の仕方自体で揉める可能性すらある。その上、朝鮮半島問題や台湾海峡問題などの複雑な安全保障上の案件がいくつもある。国内の交通アクセスが著しく制限されている国もあれば、そんな国からの密入国者や不法滞在者などで治安悪化を懸念する国もある。

共通項の多いヨーロッパで始まったにもかかわらず様々な問題が出ているのに、アジア太平洋地域で共同体となると一体どうなってしまうのか。APECの中で出来る諸課題に取り組んでゆき機能的な実績を積んでいったり、開かれた地域主義という理念を徹底させ拡大も視野に入れながら、普遍的価値の普及をAPECならではのスタンスで推し進めていくことの方が重要な気がしてならない。EUの歴史は素晴らしいもの、であるとしても、それはアジア太平洋地域においてなぞらえていくことは出来ない、とド素人の小生は思えてならない。

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2007年3月20日 (火)

東アジア共同体に関して中曽根元総理が中央日報に

(以下、中央日報の記事より引用)
「東アジア共同体は米国とともに」…中曽根元日本首相(寄稿)

◇冷戦以後の世界情勢 米国の変化と中国の台頭

1993年の冷戦終結後、世界情勢は散乱して流動的となり、各国各地域においては従来の米ソ優位の体系から脱却して、地域や国の自己のアイデンティティーを強調し、自主的行動への傾向が発生し、それは今でも続いている。そして、この流動化の中にアジアの東西において二つの深刻な事態が勃発し、国際秩序と平和の撹乱に対する憂慮すべき自体が惹起している。それはイラクと北朝鮮の問題である。冷戦以降、従来のアメリカ、ソ連、第3勢力の三つの体系は、ソ連の崩壊によってまずソ連体系が崩壊し、それにつれてほかの二体系も脆弱化し、各国各地域はそのアイデンティティーや自主独立の体制を強め、これが撹乱の大きな要因となっている。そして、世界は自己のアイデンティティーの強調やナショナリズムの時代となり、事実上、保守主義が世界的に蔓延している時代となった。

この中において世界的に大観すれば、米国の一極と他の多元世界の傾向が顕著になった。特に2001年のニューヨークのテロによる大災害以降、米国はテロを撲滅するためにアメリカ的な自由民主、人権、法の支配、市場経済等を中心にする秩序体系の世界化への熱情を強化し、ややもすればその外交安全保障政策は、ユニラテラリズム的傾向を強く持つようになり、その傾向がアフガニスタンやイラクに対応する政策となって出てきている。これに対し、仏、独、露の3国は必ずしも同調せず、またイランに対する政策等についても落差が強くなっている。世界各地では政治や経済における地域の結束が顕著な働きを見せ、東欧、湾岸、南アジア、東アジア、南米等において、その結束と独自性の主張が明白に出てきている。しかし米国は昨年の中間選挙で民主党が米国議会を制するや、ブッシュ大統領は今までの主導力であったネオコンの政権幹部を辞職させ、一方的方向から国際協調主義の方向に変わり、イランやシリアや北朝鮮との対話に転じて、世界情勢は若干の変動の兆候が示され始めている。この間にあって注目を浴びているのは、13億の人口を擁し、経済的発展の著しい中国の存在の台頭である。

◇アジアの地域協力機構

近来の世界的新秩序形成の波に乗って、東アジアにおいて2つの地域機構の構想が生まれ、構成各国の間に真剣な研究と論争が行われている。それはASEAN10カ国と北東アジアの日韓中3カ国の計13カ国の東アジア共同体(EAC)の創設構想と、その13カ国にさらにオーストラリア、ニュージーランド、インドを加えた16カ国による国際協力機構の創設である。このような構想は、冷戦崩壊後の世界各地に発生した地域的機構結成の動向の東アジア版とも言えよう。

これに対する私の判断は、東アジア共同体の想像はヨーロッパ共同体(EU)のようにキリスト教的宗教的背景も普遍性もなく、各国間の政体、言語、文化、宗教の落差が大きく、EUのように構成国の主権の一部を割譲して成立しているような東アジア共同体の創設は遠い将来の理想としての値打ちはあるが、政治的現実性は未だに非常に薄弱である。これに対し16カ国の協力機構は、まず経済的連携機構の創設を目指し、経済の脱国境性、価値観の共通性、さらに市場経済を中心にこの各国間に進められている自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)成立への努力を考えると、より近い未来において形成される可能性が大である。そして、13カ国の東アジア共同体は、その地域的密着性、伝統的なアジア的感性の共通性、多くの歴史的交流の実績と従来から既に行われてきた数回のASEAN10カ国+北東アジア3カ国(日韓中)の協力会議の経験等を考えると、この16カ国の経済協力機構の発展の過程において次第に熟成して、幅の広い最大公約数的価値観をもとに、13カ国共同体の結成の可能性期待は大きく成長するのである。そして、このような未来への共通理念を持つことは、言語や文化を異にする各国民の間に共同の理想を与え、また政府はその共同の理想に自己の政策を可及的に適合させるように努力し、年とともにその実現可能性への期待は育っていくと思われる。

この場合、考慮しなければならないのは米国の存在である。まず東アジア経済協力機構や東アジア共同体成立の基礎には安全保障の確保がなければならないが、この地域の安全保障は、現実的には米国を中心にする同盟条約のネットワークが東アジアの深底に動力線のごとく潜在していることを認識する必要がある。具体的には日米安保条約、米韓同盟条約、米比同盟条約、米台の特殊関係、米国とタイの友好協力関係、米国とシンガポールの間の安全保障協力関係、オーストラリア・ニュージーランドとの同盟条約等の存在である。さらに重視すべきは経済関係である。この地域と米国との相互の資本投下や金融関係、輸出入の貿易量等を考えると、太平洋を隔てているとはいえ、米国の存在を無視することは非現実的である。将来においてアジア太平洋を網羅するAPECとの協力関係を考慮すれば、APECの指導力をなしている米国と特別な関係を設定して、米国をしてこの16カ国の経済協力機構、さらに13カ国の東アジア共同体とAPECとの調和協力のスタビライザーの役目を果たさせることが長期的展望の政策であり、それは東アジアにおける地域機構設立の過程において特に注意しなければならない点であろう。

◇日韓中3国のトップ定期会談

日本の前政権の一時期、日本と韓国・中国のトップ会談が行われなかった時があった。しかし、安倍首相の就任以来、首相は就任後まもなく中国・韓国を訪問し、トップとの会談を行った。この3国の間には長い交流の歴史があり、各国民の間には友好交流の意識が濃厚に潜在している。これからの日本の首相の大事な仕事は、この3国トップ会談を定期化し、南のASEANの結束に対応し、北の3国トップの間に友情と協力を築かなければならない。それは東アジア共同体を設立させる基本的条件の整備であり、日本の首相は誠意を尽くして相互の意思の疎通を図り、このトップ会談を実現すべきである。日本国民も日本の首相の謙虚さと積極的な外交活動を期待しているのである。(引用終わり)

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2007年3月18日 (日)

さてどうなるのだろう

ウィングを広げて「ナンダカヨクワカラナイ」となるのはのは基準となるのがタカやらハトやらで、そもそもウィングが広い人だったような気もする人が余計に広げるもんだからって言うのは、洋の東西どこにでもあることなのかも知れない。

遠く離れてフランス。こちらも何だかそんな感じになりつつあるのか。当初、社会党色を薄めていたロワイヤル候補が党公認やら支持表明やらなんやらで社会党色を強めて支持率が下がるのではなんだの言っているうちに、第三の男、バイル候補に追いつかれるところまで来て、又今度は社会党色を薄めようと言うことなのだろうか。

間違いなく言えるのは、小生のようなド素人からすれば欧州政治はもちろん政治そのもの複雑怪奇、と言ったことぐらいだろうか。

(以下、産経新聞の記事より引用)
仏大統領選、実質スタート 三つどもえで混沌

【パリ=山口昌子】フランスの大統領選(直接選挙、2回投票)は4月22日の第1回投票を控え、立候補の届け出が16日夕(日本時間17日未明)締め切られた。計12人が出馬に必要な推薦署名を憲法評議会に提出。同評議会は19日に正式な候補者名簿を発表する。

大統領選は右派政党・国民運動連合(UMP)党首のサルコジ内相(52)を、社会党のロワイヤル元環境相(53)、中道政党、フランス民主連合(UDF)のバイル議長(55)が小差で追う三つどもえの展開。有権者の4割以上がだれに投票するか決めておらず、混沌(こんとん)とした状況だ。

最新の各種世論調査によると、1回投票の得票率予想はサルコジ氏が27~29%でトップ。ロワイヤル氏23~26%、バイル氏21~23%。バイル氏はミッテラン政権(14年)、シラク政権(12年)と続いた長期政権に倦(う)んだ選挙民を引きつけて支持率を伸ばしている。

ロワイヤル陣営は歴史的にも理論的にもバイル氏を左派の味方と考えるのは「絶対的幻想だ」と指摘。サルコジ陣営もバイル氏が決選投票に進出した場合、左派票がバイル氏に流れかねないことから、バイル氏の「曖昧(あいまい)性」を批判するなど、ともに激しい反バイル・キャンペーンを展開中だ。

サルコジ氏は8日の国際女性デーに、ベイユ元厚生相が同氏に支持表明したことを発表した。ベイユ氏はアウシュビッツ強制収容所の生還者でUDFの有力政治家。厚相時代の75年には中絶解禁法を可決させた政治手腕もある。ベイユ氏の参加によって、サルコジ氏はUDF支持者の取り込みや、ロワイヤル氏支持の女性票の取り込みなどを狙っている。

ただ、サルコジ氏は「移民・国家アイデンティティ省創設の提案への批判や自宅のアパート購入、売却に関する不正経理疑惑を報じられるなど不安材料もある。ロワイヤル氏は党と距離を置くなど作戦変更で支持率を持ち直しつつある。誰が第1回投票の勝者になってもおかしくない状況だ。(2007/03/18 02:42)(引用終わり)

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2007年3月14日 (水)

対話促進と武器禁輸解除とは別だ

ラムズフェルド前国防長官の発言を引いてくるつもりはないが、どうにも釈然としないフランスの国防相の認識が毎日新聞による書面インタビューで示されている。

(以下、毎日新聞の記事より引用)
仏国防相:中国との対話促進がアジアの安定化に

【パリ福井聡】フランスのアリヨマリ国防相は15~16日の訪日を前に毎日新聞の書面インタビューに答え、防衛協力を巡る日本との対話の重要性を強調する一方、「中国との対話促進がアジアの安定化につながる」として、欧州連合(EU)による対中武器輸出禁止の解除が必要だと訴えた。また、日本の防衛省が欧州製軍事ヘリコプター導入に関心を示していることを明らかにした。

国防相は「日仏間にはすべての分野で対話による多面的な」関係が構築されているとして、日本を「アジアでの政治・経済にわたる主要パートナー」と表現。平和維持活動への参加や、途上国への政府援助など日本の国際支援を高く評価した。

対中武器禁輸問題では「欧州諸国が求めているのは中国との関係正常化だ」と述べ、禁輸措置の適用から約15年たち、制裁の形態が今日の中国の現実に則していないことを指摘。特に北朝鮮問題で中国が果たした役割に言及し、「国際社会への中国の関与と責任を支援する必要があるという点で欧州と日本は完全に一致している。対話の土壌はアジアの安定化にとって鍵となる」と強調した。そのうえで、解除後も軍事機密への厳格な規制を保持する点を条件に、現実的な対応を求めた。

北朝鮮の核実験については「日本の懸念を共有する」と述べ、6カ国協議の行方と国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長の訪朝を注視していることを明らかにした。また北朝鮮による日本人拉致問題についても「日本の懸念を全面的に支持し、支援を表明したい」と表明した。

一方、日仏間の軍事協力では、仏海軍と日本の海上自衛隊が「インド洋上で主導的役割を果たしている」と指摘。また、日本がフランスのRECAMP計画(アフリカ諸国の平和維持部隊能力向上イニシアチブ)に関心を示していることに言及し、「両国関係強化につながる」と期待を表明した。

日本への武器輸出に関しては、日本の自衛隊が軍事装備の大半を自己調達し、残りは米国が供給しているとして「フランスの存在は薄い」ことを認めたが、航空自衛隊が仏独など5カ国で作るユーロコプター社製ヘリコプターNH90に「強い関心を示しているようだ」と明らかにした。NH90は、北大西洋条約機構(NATO)の次期汎用ヘリコプターとして開発され、発見されにくく防御力と衝撃への耐久力に優れているとされる。毎日新聞 2007年3月13日 23時36分(引用終わり)

将来の厳格な規制もなにも現在で尚、中国の国防費の増加は周辺諸国にとって脅威で、ASATの開発など平和的台頭という言葉からかけ離れたことを行い衛星を破壊して見せた。他にも中国に対し武器を輸出している国に、より高度な武器を輸出する契機を与えかねないという懸念もある。中国の急激な軍備増強でバランスが崩れて、台湾で有事なんてどうなったらどうするつもりか。

対話の促進は行われてしかるべきだろうが、そのことと武器禁輸を解除することとは話が別なのではないか。

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2007年3月13日 (火)

歴史的な安保協力に関する日豪共同宣言

ここ数日、懐かしい政治家の名前(とは言えども本の中でしか知らない名前だが)に接することが多かった。しのぶ会を巡るあの記事だけではなく、麻生外務大臣の演説の中でも。池田勇人元総理もそうであるが、一人は大平正芳元総理、もう一人が大平内閣時の大来佐武郎元外務大臣である。

27年前、1980年1月、当時の大平正芳総理とオーストラリアのマルコム・フレーザー首相は会談し、環太平洋連帯構想の重要性に関して意見を一致し、両国の友好協力を深化させ、太平洋協力構想の推進に関して合意し、太平洋地域に寄与した。歴史に「if」などないだろうが、もし1980年に両者がいなければ、日本とオーストラリアの関係深化の中に環太平洋連帯構想という哲学が共有されていなかったら、政治・経済・法体系はもちろん文化・宗教において多様性に富む太平洋地域における協力体制はどれほど遅れていたか。多様性に富む太平洋地域というポジティブな言い方が生まれることなく、混沌としたというネガティブな言い方でしか表現が出来なかったかも知れないように思うのは、小生がド素人だからだろうか。PECCは誕生していただろうか、APECはASEMは?

そして、今日、日本とオーストラリアは歴史に残るであろう共同宣言に署名した。

(以下、産経新聞の記事より引用)
安保協力で共同宣言 日豪首脳会談

安倍晋三首相とオーストラリアのハワード首相は13日、首相官邸で会談した。両首脳は、アジア太平洋地域の平和と安定に向けて両国の安全保障協力を強化させる日豪共同宣言に署名。新たに外務・防衛閣僚による日豪安全保障協議委員会(2プラス2)を設置し、対話を緊密化する。会談では、日豪経済連携協定(EPA)交渉を推進することも確認した。

両国は、安保分野の協力と経済関係の拡大を2本柱に「包括的な戦略的関係」強化を目指している。日本が米国以外と安全保障分野で共同宣言を発表したのは極めて異例。

宣言では、国際社会とアジア太平洋地域の「自由と繁栄」に向けて日豪両国が貢献することを表明。北朝鮮の核・ミサイル問題や拉致問題の平和的解決を含む「共通の戦略的利益」のため、(1)麻薬や武器密輸など国際犯罪対策(2)テロ対策(3)災害時の人道支援活動-などでの協力を明記した。

これに先立ち、ハワード首相と会談した久間章生防衛相は、陸上自衛隊のイラク派遣時に治安維持にあたった豪軍への謝意を表明し、「基本的価値観を共有する日米豪3カ国は国際社会の諸問題で緊密に連携、協力を行っており、今後も協力を推進したい」と述べた。(2007/03/13 20:09)(引用終わり)

東アジア共同体に関してはAPECの機能強化でよいのではないかなんてことも感じたりもするが、どちらにせよ日豪が連携し、両国の友好と発展に努め、北朝鮮への対処もさることながら、太平洋地域の自由と反映のために東南アジア諸国やインド、そして両国共通の同盟国アメリカといった国々と共にやるべきことは、例えば海賊対策などなど多くあるはずで、この安倍総理とハワード首相が署名した歴史的な共同宣言もまた、日本とオーストラリアのみならず太平洋地域において良い歴史の1ページを記すことを願わずにはいられない。

続きを読む "歴史的な安保協力に関する日豪共同宣言"

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2007年3月11日 (日)

三つ巴のフランス大統領選~中道なるものとはなんぞや

小生などはド素人なので、何だか媒体ごとで(無論日本語の媒体で)・・・という印象も抱くフランス大統領選。ここに来て大混戦。

(以下、毎日新聞の記事より引用)
仏大統領選:バイル氏急伸、三つどもえ状態に

【パリ福井聡】来月22日に第1回投票が実施されるフランス大統領選挙で中道派フランス民主連合のバイル議長(55)の支持率が急伸し、右派与党・国民運動連合のサルコジ内相(52)と左派野党・社会党のロワイヤル元家庭担当相(53)の支持率に肉薄している。サルコジ、ロワイヤル両氏の一騎打ちと見られてきた選挙戦は3氏による三つどもえ状態となった。

調査機関CSAによると、第1回投票を想定した各候補の支持率は(1)サルコジ氏26%(前回比3ポイント減)(2)ロワイヤル氏25%(同4ポイント減)(3)バイル氏24%(同7ポイント増)(4)極右・国民戦線のルペン議長(78)14%(同変わらず)。上位2氏が資産問題などで失速する中、2大政党制を批判するバイル氏が支持率を伸ばしている。別の世論調査でも「決選投票でサルコジ氏対バイル氏となった場合、バイル氏が55%対45%で勝利する」との予測も出ている。

民主連合は本来、自由経済推進の右派寄りの立場だが、社会政策では左派の立場も取り入れ、バイル氏は「当選すれば社会党から首相を指名する」と左派票の取り込みに向けた揺さぶりをかけている。バイル氏は左右両派から支持を増やしているため、5月6日投票の決選投票に進出できれば、左右両派のどちらが相手となっても当選の確率は高くなる。

バイル氏が掲げる「左右を超えた統一政府」についてロワイヤル氏は8日、「幻想に過ぎない。変革を実現できる唯一の候補は私だ」と主張、世論調査の結果に一喜一憂しないよう支持者に呼びかけた。

一方、仏大統領府は8日、シラク大統領が11日夜に国民向けテレビ演説を行うと発表した。大統領府筋は11日の演説でシラク氏が「大統領選不出馬と政界引退を表明する」と話している。毎日新聞 2007年3月9日 10時50分 (最終更新時間 3月9日 11時23分)(引用終わり)

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2007年3月10日 (土)

河野談話からの後退とは何を指し示すのか~新談話が徹底的な調査と史実にもとづき過去に世界中の戦場で生じた性問題に言及し再び起こしてはならないとすれば後退でもなんでもない

「河野談話から後退すると問題だ」などと言う話は、病床においても否応無く耳にするが、果たして後退とは何かと感じる。

騒いでるからと言って、唯々諾々と根拠の疑わしい河野談話をありがたがり続ける社会などは進歩どころか文明的に後退している。むしろ、史実を客観的な証拠に基づいて調査し明らかにした上で、今後社会においてどうするかを検討することこそが進歩だ。どうしょうもない談話でなにかを批難する、それはどうしょうもないのではないか。

安倍総理は調査研究をするという自民党に資料を提出、提供するとした。先日の記事にあった民主党の有志がどうするか分からないが、民主党の有志にも提出、資料を提供するべきであるし、研究者にも資料を提出、提供するべきだ。

(以下、産経新聞の記事より引用)
首相「党に資料提供」 慰安婦問題

安倍晋三首相は8日、慰安婦問題で謝罪と反省を表明した平成5年の河野官房長官談話について、「自民党が今後、調査、研究をしていくので、資料の提出、提供で協力していく」と述べた。首相官邸で記者団の質問に答えた。首相はこれまで国会などで「官憲による強制的連行があったと証明する証言はない」と答弁しており、関係資料・文書を公開し、自民党側で事実上の再調査を進めることで、「強制連行」の裏付けがないことを改めて明らかにしたい考えとみられる。

自民、河野談話再調査へ

首相は、記者団に「私の発言自体がねじ曲げられて海外で報道され、それがさらに誤解を拡散させていく極めて非生産的な状況になっている」と指摘した。しかし、政府としての再調査については、言明を避けた。

首相の本心は「河野談話を見直す気持ちに変わりはない。彼はそうした問題に取り組むために首相になった」(政府筋)とされる。ただ、米下院で慰安婦問題をめぐる対日非難決議案が審議中であることや、米国、中国、韓国などで対日包囲網を築く動きがあることから、「政府として再調査に踏み出すにはタイミングが悪い」(周辺)と判断したとみられる。

資料には、河野談話が官憲による慰安婦募集の強制性を認めた最大の根拠である韓国での元慰安婦16人への聞き取り調査結果(現在は非公開)もあるが、首相は提供するかについて「まだ詳しく分からない」と答えた。

これに先立ち、自民党の「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(中山成彬会長)は8日、慰安婦問題について(1)実態の再調査と結果の公開(2)米下院の対日非難決議案の採択防止を含め、正確な理解を広める外交努力-を政府に求める提言を取りまとめ、首相に手渡した。

提言は、決議案を「客観的史実に基づかない一方的な認識」と批判した上で、「(決議案などの)誤った認識は、河野談話が根拠となっている」と間接的に河野談話の修正を求めている。

米下院の決議案は「女性を強制的に性奴隷化」などと軍による強制連行を前提に、日本政府に謝罪を要求。首相は5日の参院予算委員会で、「官憲が家に押し入って人さらいのごとく連れて行くという強制性はなかった。米下院の決議案は事実誤認がある」と反論している。

【用語解説】河野談話

宮沢喜一内閣総辞職前日の平成5年8月4日、河野洋平官房長官が「慰安所の設置、管理および慰安婦の移送は旧日本軍が直接あるいは間接に関与した。慰安婦の募集は、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、甘言、強圧など本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、官憲等が直接これに加担したこともあった」とする談話を発表し、謝罪した。

しかし、談話の根拠は元慰安婦女性からの聞き取り調査だけで、当時官房副長官だった石原信雄氏は「あらゆる努力を傾注して調べたが、直接的に(軍が)本人の意図に反しても女性を慰安婦とする、という指令書は一切なかった」と述べている。(2007/03/09 08:28)(引用終わり)

アメリカの下院がいかなる決議をするしないは、アメリカの下院の決めることだろう。アメリカのとあるメディアがいかに報じるかは、アメリカのとあるメディアが決めることだろう。が、言うまでもなく、その決議や報道内容がどれほど客観的に正しいものであるかによって、アメリカの下院やアメリカのメディアの品格が問われる。さまざまな政治決断が厳しく問われるのと同じように。

(以下、産経新聞の記事より引用)
慰安婦問題 対日非難は蒸し返し

【ワシントン=古森義久】米国議会の一部やニューヨーク・タイムズが「慰安婦」非難で日本軍の強制徴用の最大例として強調するオランダ人女性のケースは実際には日本軍上層部の方針に逆らった末端の将兵が勝手に連行し、その違法行為が発覚してすぐ日本軍自身により停止されていた事実が明らかとなった。しかもこの違法の性的徴用の責任者たちは戦後の軍事裁判で死刑を含む厳刑に処されており、今回の日本非難はすでに責任のとられた案件の蒸し返しとなっている。

オランダ女性の事例 末端将兵の行為 すでに厳刑

8日付のニューヨーク・タイムズは日本の慰安婦問題を安倍晋三首相がそのすべてを否定したかのような表現でまた報じたが、そのなかでオランダ人の元慰安婦だったというジャン・ラフ・オハーンさん(84)の「インドネシアの抑留所にいた1944年、日本軍の将校に連行され、慰安所で性行為を強要された」という証言をとくに強調した。同紙はオハーンさんの2月15日の米下院外交委員会公聴会での証言を引用しており、「日本政府からの公式の謝罪が最重要」と述べたとして、日本軍が組織的に総数20万人もの女性を強制徴用したという糾弾の最大の根拠としている。

ところが慰安婦問題に詳しい日米関係筋などによると、オハーンさんは戦後すぐにオランダ当局がインドネシアで開いた軍法会議で裁いた「スマラン慰安所事件」の有力証人で、その証言などにより、上層部の方針に違反してオランダ女性を連行して、慰安所に入れた日本軍の将校と軍属計11人が48年3月に有罪を宣告され、死刑や懲役20年という厳罰を受けた。オハーンさんは同公聴会で日本側が責任をとることを求めたが、責任者は60年近く前にすでに罰せられたわけだ。

日本政府には批判的な立場から慰安婦問題を研究した吉見義明氏も著書「従軍慰安婦」のなかでオランダ政府の報告書などを根拠にスマラン慰安所事件の詳細を記述している。同記述では、オハーンさんらオランダ女性を連行したのはジャワの日本軍の南方軍幹部候補生隊の一部将校で、(1)軍司令部は慰安所では自由意思の者だけ雇うようはっきり指示していたが、同将校たちはその指示を無視した(2)連行された女性の父のオランダ人が日本軍上層部に強制的な連行と売春の事実を報告したところ、すぐにその訴えが認められ、現地の第16軍司令部はスマラン慰安所を即時、閉鎖させた(3)同慰安所が存在したのは2カ月だった(4)主犯格とされた将校は戦後、日本に帰っていたが、オランダ側の追及を知り、軍法会議の終了前に自殺した-などという点が明記されている。(2007/03/10 06:09)(引用終わり)

他にも産経新聞izaに掲載されている阿比留瑠比・産経新聞記者のブログ『国を憂い、われとわが身を甘やかすの記』2007年3月9日付けエントリー「世界各国にもあった慰安婦・慰安所」を読んでいると、談話後退とかいう騒ぎはなんなんだろうと感じる。本当に後退しているのはどういうものなのだろうか。

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2007年3月 5日 (月)

ドイツでも~あの言葉の来歴は意外なところ

ドイツでもあの言葉で揺れているらしい。

(以下、毎日新聞の記事より引用)
ドイツ:「産む機械」発言で論争 司教が保育所増設批判、政界から反発の声(引用終わり)

◇独でも「産む機械」発言論争

【ベルリン共同】少子化対策としてドイツ政府が進める保育所増設計画について、ドイツ南部のカトリック司教が「女性を『産む機械』にしてしまう」と批判したことに、政界から反発の声が上がっている。

司教の発言は、子供は保育所でなく家庭で育てられるべきだとの主張に基づいているが「男は仕事、女は家庭」という伝統的思想に反対する声もあり、論争はさらに広がりそうだ。

同国では、1人の女性が生涯に産む子供の数の平均を示す合計特殊出生率が欧州最低レベル。フォンデアライエン家庭相は、女性が働きやすい環境をつくるため、3歳以下の子供を預かる保育所を2013年までに75万カ所に増設する計画を表明している。

これに対し、南部アウクスブルクのワルター・ミクサ司教が22日、「出産直後に子供を預けて働かせようとするのは、女性を『産む機械』として扱うことになる」と教会で話したと伝えられた。

「産む機械」は1960年代の女性解放運動で子供を次々と産む専業主婦を批判した用語で、ナチスが「女性の最高の仕事は出産」と宣伝したことへの反発も背景にある。毎日新聞 2007年2月26日 東京朝刊

最後のパラグラフから、あの人間の生の営みをなんと考えるか的な言葉って実は・・・そういえば、ナチスは健康なドイツ国民を育成するべくたばこ撲滅にも取り組んでいたなんてなことが『健康帝国ナチス』に書いてあったっけ、なんてなことも考えさせられた。

あの騒動を思い出しながら、この毎日新聞の記事を読み、あの騒動とはいったい何だったんだろうかと考えると、なんだかホントどうしょうもない騒動だったなぁとしかいいようがない。

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2007年2月25日 (日)

フランスの大統領選

次に挙げる三人の女性のうち、候補は候補でも別格の候補の方が一人だったような気がする。
アメリカのヒラリー候補、韓国の朴槿恵候補、フランスのロワイヤル候補。
トップを狙う三人の女性の中でも、政党の推す候補というのはロワイヤル候補だけではなかったか。

太平洋を挟んで隣のアメリカの候補、日本海ないしは対馬海峡を挟んで隣の韓国の候補に関しては、病床にあってもその名前をしょっちゅう聞いたり見たりする機会はあっても、フランスの候補はそうそう無いのでもともと政治の話に疎い小生などは全くよく分からない。「苦戦か善戦か、ものは言い様」、そんな感じだろうか。接戦、と言えば聞こえは良いのだろうが、失言やらなんやらで泥仕合のようだ。

フランスの大統領選、昔の話から順繰りと。ヨーロッパのウィットあるジョークか面白い話もちらほらでてきたりも。

(以下、毎日新聞の記事より引用)
フランス:ロワイヤル氏、偽電話に冗談で失言 コルシカ独立「国民は反対しない」

◇コルシカ独立「国民は反対しないと思う」

【パリ福井聡】仏左派野党・社会党の大統領選候補、ロワイヤル元家庭・児童担当相は24日、カナダのケベック州知事を名乗る仏コメディアンの偽電話にひっかかり、仏南部コルシカ島の独立問題を冗談半分に答えてしまった。

AP通信などが26日報じたところによると、右派与党・国民運動連合の大統領選候補、サルコジ内相に近いとされるコメディアンのジェラルド・ダーアン氏は、ケベック州のシャレ知事の声をまねてロワイヤル候補と電話で話した。同氏はロワイヤル候補が先日、同州の独立を支持するかのような発言で物議をかもしたことにひっかけてコルシカ独立問題を尋ねた。録音テープによると、同候補は「仏国民は反対しないと思う」と笑った後、「また新たな波紋を呼ぶから繰り返さないで、内密に」と述べた。

仏政府や国民の多数にとってコルシカ独立は認められるものではない。サルコジ内相は「冗談で済ます話題ではないが、冗談にしてはたちが悪い」と皮肉った。

同候補は25日にもラジオで仏政府所有の原子力潜水艦の数を聞かれて「1隻」と答え、司会者が「7隻だ」と言うと「そう、7隻」と言い直した。正解は「4隻」で、左派リベラシオン紙は「(大統領として)大丈夫かの疑念が右派以外にも広がっている」と書いた。毎日新聞 2007年1月27日 東京夕刊(引用終わり)

日本でもこういうジョークがあったら面白いのに。とはいえ、失言は失言で
(以下、産経新聞の記事より引用)
仏大統領選に“第3の男” バイル氏、左右泥仕合の隙突く

【パリ=山口昌子】今春の仏大統領選は、最大与党である保守・中道の国民運動連合(UMP)のニコラ・サルコジ候補(内相)と社会党のセゴレーヌ・ロワイヤル候補(元環境相)が激突する展開になっている。しかし、ここにきて両者のスキャンダル合戦や政策論争を背景に、中道政党、フランス民主連合(UDF)のフランソワ・バイル候補(党議長)が“第3の男”として浮上してきた。

最新の世論調査でバイル氏について「勇気がある」とみている回答が75%もあり、77%のサルコジ氏に迫る勢いだ。ロワイヤル氏の57%を引き離している。文化政策でロワイヤル氏を「信頼する」と答えたのが30%。サルコジ氏は16%、バイル氏は15%だった。

UDFは地方の伝統的な富裕層に支持されている。しかし、この層の人口減少に加え、ドストブラジ外相らUDFの有力議員が2002年のUMP結党に参加し、弱体化の一途をたどっていた。

ところが最近になってサルコジ氏とロワイヤル氏が激しい泥仕合を展開。サルコジ氏が内相の地位を利用して国家警察総合情報局(DCRG)を使い、ロワイヤル氏の選挙戦顧問を調査したと、スッパ抜きで知られる風刺紙「カナル・アンシェネ」が暴露した。ロワイヤル氏と事実上の夫のオランド第一書記が早速、「国家的事件」とサルコジ氏を非難した。

サルコジ氏は「噴飯ものだ」と疑惑を一(いつ)蹴(しゆう)。DCRGは「サルコジ氏の指示はない」と否定したが、仏メディアはロワイヤル氏の弟もDCRGの調査対象になったなどスクープ合戦を繰り広げ、泥仕合に拍車をかける。

ロワイヤル氏は、税制問題で社会党と距離を置く発言をしたほか、失言も目立つ。新年早々の中国訪問では中国に遠慮してか「人権」を「人間性の権利」と述べたほか、昨年の中東歴訪での失言やカナダ・ケベックの“独立”支持発言などもあり「外交が弱点」との評価が定着しつつある。

サルコジ氏はこのところ6つの世論調査でロワイヤル氏を上回った。敵失に加え、「過去との断絶」や「変化」の姿勢が評価されているからだ。しかし、福祉重視の経済政策「社会モデル」を修正する方針を掲げているため、保守支持層からも既得権の喪失につながると危惧(きぐ)する声が上がっている。

両候補の醜い足の引っ張り合いに有権者が嫌気を差せば、バイル氏が漁夫の利を得る格好で2回目投票に進出する展開も考えられる。(2007/01/30 21:53)(引用終わり)

そんなわけで低迷していたというか低迷しているのか。
(以下、産経新聞の記事より引用)
仏大統領選、本格舌戦スタート ロワイヤル氏VS.サルコジ氏
2月12日8時0分配信 産経新聞

■ロワイヤル氏 “らしさ”消え低迷

■サルコジ氏 左右支持者が評価

【パリ=山口昌子】4月22日の仏大統領選1回目投票が迫る中、社会党のセゴレーヌ・ロワイヤル候補(元環境相)と最大与党である保守・中道の国民運動連合(UMP)のニコラ・サルコジ候補(内相)が11日、それぞれ重要会合を開き、本格的な舌戦をスタートさせた。支持率低迷に悩むロワイヤル氏に対し、サルコジ氏の優位が目立ち始めている。

逆転を目指すロワイヤル氏は同日、パリ郊外で全国書記大会を開いた。「低きに向かうフランスの無秩序をともに点検しよう」と訴えた。昨年11月に社会党公認候補に選出されて以来、各地で行った公開討論などを土台に作成した「大統領協定」を発表。約1時間半の演説で年金の5%引き上げや若年層の初就職支援、選択性移民など市民生活に比重を置いた百余りの提案を行った。

女優のジャンヌ・モロー氏や社会学者のエドガール・モラン氏らが会合に参加し、約600人の内外記者団が取材。ロワイヤル氏は今回、ミッテラン前大統領が再選を果たした1988年の大統領選で使用した会場を選び、必勝を期した。

ロワイヤル氏の選挙運動をこれまで仕切ってきた支持団体「未来への欲望」は退き、社会党が前面に出たせいか、これまで批判的だったジョスパン政府時代の目玉政策「週35時間労働」に関しては「否定的効果を減じるため交渉を開始する」との表現に弱められた。ロワイヤル氏の魅力は従来の社会党とは異なる新鮮さにあったが、党公認候補となったことで逆に“らしさ”が制約を受け、支持率低下につながっているようだ。

サルコジ氏の支持委員会も11日、パリ市内で約3000人を集めて開かれた。1月中旬以降の各種世論調査では数%差でロワイヤル氏をリード。こうした勝利予測を受け、サルコジ氏は会合で「われわれを団結しているものは同じ文化と同じ歴史の後継者であることだ」と述べ、「政治的開放」の方針を確認した。

左派系の哲学者アンドレ・グリュックスマン氏が「古い時代の苦悩と新しい展望と熟慮」の末にサルコジ氏支持を決めたほか、ロカール元首相(社会党)側近のブラン・エールフランス前会長ら左派系著名人も参加するなど、早くも「政治的開放」を印象付けた。

1月14日の党公認候補に選出された際の演説は「感動的で共感できた」と左派支持者のジャーナリストたちにも好評だった。2月5日の民放テレビの公開生番組でも「統治能力がある」「説得力がある」と左右の支持者から高く評価された。

番組では、批判を恐れて賛否の明言をしにくい同性同士の結婚やイスラム教徒の慣習の多妻、女性器の一部切除、いけにえ用の羊を自宅アパートで解体することにも明確に反対した。(引用終わり)

(以下、毎日新聞の記事より引用)
仏大統領選:ロワイヤル氏支持率、与党サルコジ氏と並ぶ

【パリ福井聡】フランスの調査機関IFOPは24日、今春の仏大統領選挙第1回投票での支持率予想として、左派野党・社会党のロワイヤル元家庭担当相(53)と、右派与党・国民運動連合のサルコジ内相(52)が共に28%で、並んだと報じた。ロワイヤル氏は1カ月以上もの間、サルコジ氏に支持率で引き離されていたが、19日に放映された民放TF1の番組「あなたに聞きたい」で2時間にわたって生出演した後に、急速に支持を盛り返している。

IFOPによると(1)ロワイヤル氏28%(前回比2ポイント増)(2)サルコジ氏28%(同5ポイント減)(3)中道派フランス民主連合のバイル議長(55)17%(同4ポイント増)(4)極右・国民戦線のルペン党首(78)11.5%(同0.5ポイント増)という結果となった。

上位2候補によって行われる決選投票の予想でも(1)サルコジ氏50.5%(前月比0.5ポイント減)(2)ロワイヤル氏49%(同4ポイント増)と、再び接戦となった。

ロワイヤル氏は「あなたに聞きたい」で、100人の男女からの質問に答えた。63歳の女性からの「女性として大統領職への心構えは」の問いに「男性以上に大変なのは事実だが、フランスは女性を大統領にする時を迎えた。私には(男性大統領とは)異なった手法がある」と断言。

車椅子に乗った60歳の男性が、自らの体が硬直した過程を涙を流して訴えると、ロワイヤル氏は彼に歩み寄り、肩に腕を寄せた。質問者の意見をよく聞き、落ち着いた対応でゆっくりと質問に答え、視聴者に好印象を与えることに成功した。毎日新聞 2007年2月25日 19時29分(引用終わり)

さてどうなることやら。

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