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2007年3月24日 (土)

EUですら、なのだから

ローマ条約から50年、条約の名前は変わることもあるらしく、マーストリヒト条約締結に伴い、欧州経済共同体設立条約から欧州共同体設立条約になったとかならないとか、ド素人の小生はよく覚えていない。ということはEuratom条約もまた50年なのだろうか。とりあえず、EUの前身となるEECが生まれる元になったということぐらいしか覚えていない。

そんな節目に毎日新聞にEUの議長国ドイツのシュタインマイヤー外相の評論が、産経新聞にはEUの現在に関する記事が掲載されている。読んでて感じるのは、「東アジア共同体」なるよくよく考えてみればその枠組み自体が曖昧模糊とした構想への壮大な感じと違和感。

(以下、毎日新聞の記事より引用)
欧州連合:議長国ドイツの外相が寄稿「EUが50歳に」

欧州連合(EU)は25日、前身の欧州経済共同体(EEC)設立を決めたローマ条約の調印50周年を迎える。EU議長国ドイツのシュタインマイヤー外相は「EUが50歳に」と題する評論を毎日新聞に寄稿した。(訳・在京ドイツ大使館)

◇   ◇

EU50歳の誕生日は比類なき成功物語である「欧州統合」を振り返る機会となる。この50年に欧州の人々が達成した成果は私たち皆が誇りにできるものだ。

平和、豊かさ、安定は最大の成果であり、人々に具体的な恩恵をもたらした。欧州の東西分裂が克服されたことは極めて重要だ。新規加盟国が加わり、民主主義と「法の支配」の定着が大きく進んだからだ。自由を希求する中・東欧の人々の意思がなければ分裂の克服は実現しなかった。

もう一つの成果は世界に類例のない「協力のあり方」が発展したことだ。EUは民主主義と「法の支配」を基盤とし、域内協力は加盟国間における権利と義務の平等、透明性と補完性という原理を旨とする。他地域での協力のあり方の範となり得る。

欧州の土台を成すのは共通の価値観だ。すなわち人間の尊厳、自由と責任、連帯、多様性と寛容、他者への敬意である。EUは共通経済圏にとどまらず、価値観を共有する価値共同体だ。共通の価値観によって立つからこそ欧州は政治単位として機能し得る。

多大な成果にもかかわらず、ここ数年、EUに対する市民の信頼が低下した。「欧州統合に対する支持の拡大」は、ドイツがEU議長国を務める今年前半の目標の中心にすえられた。EUは21世紀の課題に対処できることを実証していかなければならない。どの加盟国ももはや一国だけでは豊かさと安全を維持できない。ましてや、グローバリズムのあり方に積極的に働きかけていくのは到底無理だ。

今月8、9の両日開かれた首脳会議でEUは市民にとって重要度の高い分野で政治的意思を形作る力を発揮できることを証明した。温暖化防止とエネルギー政策は人々の将来にかかわる極めて重要な分野であり、温暖化の危機は私たちが一致協力することなしには解決できない問題の一つだ。

欧州共通外交・安全保障政策の拡大にも期待が集まっている。欧州外交は平和と正義、自然環境の保護を一貫して追求するものでなければならない。内務・司法分野ではテロ・犯罪の防止に向けた共同の取り組みと、人権・公民権の尊重との均衡を図る。不法移民問題も共通の解決策が必要だ。

欧州を一つにまとめているものは何か。25日にはこの観点を中心にすえ、欧州の結束と一体感を発信する。直面する課題に力を合わせて対処し解決していこうという明確なメッセージだ。

欧州は自信を持ってしかるべきだ。力を合わせれば自らの将来を自律的に方向付け、積極的につくり上げていくことができる。そのために市民の支持と参加が必要だ。力を合わせて欧州の成功を可能にしたい。毎日新聞 2007年3月24日 3時00分(引用終わり)

(以下、産経新聞の記事より引用)
EUの原点 ローマ条約50周年 統合欧州、曲がり角

拡大・深化が足踏み

【パリ=山口昌子】欧州統合の基盤となったローマ条約が調印されてから25日で50周年を迎える。当日は、欧州連合(EU)加盟27カ国の首脳が議長国ドイツの首都ベルリンに一堂に会し、「ローマ条約50周年」に関する宣言を発表するなど、域内人口約5億人に膨れ上がった「拡大欧州」にふさわしい盛大な式典を催す。「統合欧州」を印象付けるため、欧州単一通貨、ユーロの記念硬貨も発行される。だが、統合、拡大の要とされながら暗礁に乗り上げた欧州憲法批准作業が象徴するように、統合の深化や加盟国拡大への懐疑論も噴き出している。統合50歳の節目は期せずして、曲がり角に立つEUを見せ付ける皮肉な結果ともなっている。

「もしEUが存在していなければ、欧州はどうなっていたか」。フランスで今、盛んに議論の対象になっている命題だ。

回答は、「国境で輸送トラックが(税関手続きのため)長蛇の列を作る」「携帯電話が自分の国でしか使えない」「旅の先々で換金する必要がある」「『ポーランドの配管工』(移民労働者)が来ない」などである。

確かに、欧州は単一市場の出現でヒト、モノ、カネ、サービスが自由に行き交うようになった。ユーロはすでに13カ国で使用可能だ。ポーランドなど中・東欧10カ国の加盟で、労働力の往来も一段と活発になっている。

■■■

1957年3月25日、「欧州人の絶え間ないより密接な団結」をうたうローマ条約の調印式に出席したのはフランス、ドイツなど6カ国だった。

これに先立つ50年5月9日には、時の仏外相、ロベール・シューマンが「無駄な言葉は論外だ。行動、果敢なる行動だ」と、6カ国に欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)の設立を呼びかけている。

シューマンが感化を受けた仏実業家で欧州統合の提唱者、モネは、第二次大戦の戦火のつめあと深い欧州の復興には、敗戦国ドイツの参加が不可欠だと考えた。そして、この戦争の道具だった仏独の石炭、鉄鋼を共同管理下に置くという発想の根底には、欧州を再び戦火にさらさないとの強い政治的意思が込められていた。2人が「欧州統合の父」と呼ばれるゆえんだ。

ECSCの中核を成した仏独両国は当然、ローマ条約で誕生した欧州経済共同体(EEC)を、欧州共同体(EC)、そしてEUへと発展させていく牽引車となった。ベルギーのブリュッセルに本部を置いたのは、小国で影響力や野心が少ないとの判断からだった。

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そのブリュッセルはしかし、今や、人口100万のうち30%をEU関係者など外国人が占める「欧州の首都」へと変貌(へんぼう)し、そこから発されるEU規定が加盟国の国内法に優先する割合が増えている。

加盟国間の対立や摩擦も生じ、共通農業政策をめぐる英仏対立は年中行事だ。共通外交・安全保障政策での域内不一致もイラク戦争への対応などに端的に表れている。

「ブリュッセル」に対する不平、不満、不安が表出したのが、フランスとオランダという2つの原加盟国での欧州憲法批准の否決だっただろう。

サルコジ内相、ロワイヤル元環境相という次期仏大統領選の有力候補による欧州中央銀行(ECB)批判も、「すべての不幸はブリュッセルからやってくる」といった国民感情を反映している。

トルコの加盟問題への反対が加盟国の草の根レベルで根強いのは、欧州大陸にもキリスト教文化にも属していない同国の加盟でこれ以上の混乱を招きたくないとの危機本能からでもありそうだ。

ユーロは米ドルと肩を並べるようになったが、加盟国の約半数の14カ国がまだ導入していない。拡大で導入条件を満たさない国が増える一方、英国のように国家主権を侵害されたくないとの意識が強い国もあるからだ。

ルクセンブルクのユンケル首相が「域内住民の50%がもっと欧州を、と望み、50%がもうたくさん、と考えているところに問題がある」と指摘しているように、欧州は拡大へ、深化へとひた走り続けた後で足踏み状態に陥っているようにみえる。(2007/03/24 01:42)(引用終わり)

(以下、産経新聞の記事より引用)
ローマ条約50周年 新加盟続々“温度差”も

【ベルリン=黒沢潤】欧州連合(EU)は2004年以来、東欧など12カ国にも「統合の翼」を広げたことで、その性格を変えつつある。「(15カ国時代に比べて文化、宗教、経済面で)『異質』な者同士の集まりとなり、アイデンティティーの危機にすら直面している」(ドイツのシンクタンクCAPのベティーナ・タールマイヤー研究員)のが実情だ。

EUが冷戦終結後、ソ連のくびきから解き放たれた東欧諸国を組み入れたことは、欧州の政治的安定や経済発展といった観点から意味があった。

だが、ポーランドが04年に欧州憲法条約に「キリスト教の伝統」をうたうよう唱えて政教分離の国々と対立したことでも明らかなように、価値観をめぐる“温度差”が徐々に表面化しつつある。

経済面でも、新・旧加盟国の違いは歴然としている。EUの経済成長率に占める新規加盟国の貢献度はわずか5%に過ぎず、巨額の補助金がこれらの国に流れることへの不満もくすぶっている。

1月に加盟したルーマニアとブルガリアは国内の機構改革に追われ、EUに今後の戦略を提示できる状況にはない。外から見れば強力な組織に見えるEUもこうした国々を抱え、「内部は弱体化しつつある」(政治専門家)との見方もある。

加盟当時、約40年ぶりの「欧州回帰」に沸いた東欧諸国の側にも不満は募る。域内での自由労働が認められないなど、加盟の恩恵を十分、感じることができないためだ。

冷戦後、やっとソ連の下から独り立ちした東欧諸国は、内政への「ブリュッセル」からの横やりに困惑気味だという。独ブランデンブルク応用科学大のウルリヒ・ブラッシェ政治学教授は、「東欧では『モスクワからブリュッセルの独裁主義に変わっただけだ』との声も出ている」と話す。

「これ以上の拡大は、『EUの顔』の問題にかかわる」(ミヒャエル・クライレ独フンボルト大教授)との指摘もあるように、EUは「拡大」よりも「深化」に重きを置いていく可能性が高い。(2007/03/24 01:54)(引用終わり)

(以下、産経新聞の記事より引用)
ローマ条約50周年 仏独主導と一線 英なお懐疑姿勢

【ロンドン=蔭山実】後発の加盟国、英国では、欧州統合に懐疑的な風潮が今も根強い。「親欧州」を掲げたブレア政権も統合を主導するフランスやドイツとは一線を画し、イラク戦争の共闘を通じて、伝統的な対米重視路線に転じた。「国家間協力」を下地にした英国流の欧州観は簡単には薄れそうにない。

英国は、ヒース保守党政権下の1973年に欧州経済共同体(EEC)に加盟した。ローマ条約から十数年たち進展する市場統合に乗り遅れ、欧州で孤立しかねないとの懸念があったといえる。

サッチャー保守党政権は市場統合に理解を示しても、経済通貨統合と政治統合には反対した。

ブレア労働党政権はそうした政策を転換させたとはいえ、欧州単一通貨ユーロの導入は、2003年に見送ったままだ。

サッチャー時代の1980年代に断行された民営化と自由化で英国経済は立ち直り、「強いポンド」と内需拡大に支えられた好景気が続く中、ブレア首相は経済界中心のユーロ懐疑派に配慮しているとされる。2006年に「拡大欧州」の基本法となる欧州憲法が挫折したことで、導入はさらに遠のいた印象が強い。

ブレア首相はグローバル化の中、自由競争に国家の生き残りをかける米国流の政策を訴え始め、それが、福祉を優先させる仏独との新たな溝を作る結果になっている。

首相の後継者として最有力視されるブラウン財務相も首相以上に自由市場を推進して、英経済の競争力強化を図り、最大野党の保守党も、サッチャー首相以来の欧州懐疑姿勢を崩していない。いずれが政権を取っても英国が今以上に欧州寄りになることはなさそうだ。

ローマ締結調印50年を機に、英紙フィナンシャル・タイムズが行った世論調査で、EUで連想するのは「官僚」だとする回答が、英国では主要加盟国中、最高の38%を占めた。仏独主導で国の針路が決まることへの嫌悪感はなお強いのである。(2007/03/24 01:50)(引用終わり)

東アジアサミットに参加するすべての国が共通する価値観など存在しない。宗教・文化・習慣・人種・気候も多様、経済規模もビジネス環境も全く違えば、政治体制も著しく異なっているし、EUとくらべて人口規模は桁違いに大きい。東アジア共同体のブリュッセルなるものをどこにできても、きっとEU以上の摩擦を抱えることになるだろうし、EU並にかちっとした強制力のある意志決定をするとすれば費やす労力は途方もないものになるだろう。下手をすれば、その意志決定の仕方自体で揉める可能性すらある。その上、朝鮮半島問題や台湾海峡問題などの複雑な安全保障上の案件がいくつもある。国内の交通アクセスが著しく制限されている国もあれば、そんな国からの密入国者や不法滞在者などで治安悪化を懸念する国もある。

共通項の多いヨーロッパで始まったにもかかわらず様々な問題が出ているのに、アジア太平洋地域で共同体となると一体どうなってしまうのか。APECの中で出来る諸課題に取り組んでゆき機能的な実績を積んでいったり、開かれた地域主義という理念を徹底させ拡大も視野に入れながら、普遍的価値の普及をAPECならではのスタンスで推し進めていくことの方が重要な気がしてならない。EUの歴史は素晴らしいもの、であるとしても、それはアジア太平洋地域においてなぞらえていくことは出来ない、とド素人の小生は思えてならない。

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