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2006年12月26日 (火)

ワンフレーズの言い回しとワンフレーズでないものの言い回し/暴言

「一般財源化を図ることを前提とし」と「一般財源化を前提に」には違いがあるという。

日本経済新聞のNET EYEは清水真人・日本経済新聞編集委員による「首相官邸コンフィデンシャル」を読んで初めて知ったのだが、政治の世界には修辞学としての「霞が関文学」があるのだという。政治に疎い小生のようなド素人には中々違いがよく分からないが、違いがあるのだと言うことは感じた。ちなみに前者が小泉内閣の基本方針で後者が安倍総理の所信表明で、踏み込んでいるのは後者の方のようだ。

以下リンク先ではこうした言葉に関する事柄も書かれているバックナンバーも紹介されているので是非。

(以下、日本経済新聞NET EYE「首相官邸コンフィデンシャル」の記事より引用)
検証・「道路特定財源」で安倍晋三の蹉跌(2006/12/25)

政権発足から3カ月。首相・安倍晋三は頼みの綱である内閣支持率が急落、下げ止まらないままの年越しに追い込まれた。2007年度予算編成では道路特定財源の見直しで首相官邸主導を演出しようとしたが、逆に「骨抜き」「腰砕け」批判を浴び、求心力低下の象徴となってしまった。浮かび上がったのは政策決定で抱える3つのアキレス腱。霞が関との連携の乏しさ、経済財政諮問会議の使い方の問題、そして安倍自身の発信力だ。

所信表明演説で見えていた危うい意欲

「この道路財源改革の言い回し、思い切りが良すぎるんじゃないか」「安倍さんは確信犯なのだろうか。まさか問題の経緯や事柄の難しさを分かっていないなんてことは……」

財務省や国土交通省からこんな戸惑いの声が漏れてきたのは9月下旬。首相に就任した安倍が極秘に準備してきた所信表明演説の草案を目にした時だった。初の国会演説は「イノベーション」など安倍流の横文字キーワードが盛りだくさん。道路財源のくだりは注目されなかったが、実は安倍は霞が関頭越しのトップダウンでかなり踏み込んでいた。

「現行の税率を維持しつつ、一般財源化を前提に見直しを行ない、納税者の理解を得ながら、年内に具体案を取りまとめます」

安倍は総裁選公約では一言も道路財源問題に触れていなかった。揮発油税や自動車重量税などを特定財源とし、全国津々浦々の道路整備に注ぎ込むシステム。元首相・田中角栄が議員立法で編み出し、公共事業支配の源泉としてきた。田中的政治の打破を目指した前首相・小泉純一郎も切り込む機会を狙っていたが、同じく田中的政治の象徴と見定めた郵政三事業の民営化に全精力を注ぎ込んだため、道路財源改革は積み残した。

それでも小泉は05年12月に見直しの基本方針だけは打ち出した。こう書いてある。

「環境面への影響にも配慮し、暫定税率による上乗せ分も含め、現行の税率水準を維持する」 「一般財源化を図ることを前提とし、来年の歳出・歳入一体改革の議論の中で、納税者に対して十分な説明を行ない、その理解を得つつ、成案を得る」

安倍の所信表明は一見、小泉基本方針をそのまま踏襲したように見えた。が、財務省や国土交通省、基本方針を取りまとめた自民党の道路調査会長・石原伸晃(現幹事長代理)ら道路関係者には波紋が広がった。基本方針で「一般財源化を図ることを前提とし」とやや回りくどい表現をしたのを、安倍は「一般財源化を前提に」とすっきり言い切った。有権者には縁遠い世界だが、両者は官庁独特の修辞学「霞が関文学」では明らかに意味が違った。

道路整備促進を望む地方部出身議員の一般財源化アレルギーは強烈で、石原はその矛先をかわそうとして「一般財源化を図る」と微妙に表現をぼかしていた。一般財源化がすんなり通らない場合、道路整備に親近性の高い歳出項目への「使途拡大」も含め、政治的な逃げ道をたとえ、どんなに狭くても残しておきたかったからだ。安倍官邸はそんなリスクへの目配りや霞が関の危惧をよそに「国民に分かりにくい」とばっさり断定調に書き換えた。

小泉基本方針は道路財源改革を歳出歳入一体改革と連動させ、消費税率引き上げ問題とセットで決着させる構想だった。道路財源の「本丸」である揮発油税(06年度税収見込み約2兆9千億円)は本則税率(1リットル当たり48.6円)に暫定税率(同24.3円)を上乗せして徴収している。暫定税率の適用期限は08年3月末で、その後の対応は07年暮れの08年度税制改正で必ず課題に上る。安倍は「消費税を含む税制抜本改革は07年秋以降に議論する」との方針を打ち出した。ならば、揮発油税の扱いも消費税と一体で07年末にケリをつける。当然、安倍官邸もそのつもりだろう、と道路関係者の大半は決め込んでいた。

生煮えだった諮問会議での「首相指示」

一方、自動車重量税(06年度税収見込み約5700億円)は創設の経緯などから事実上、特定財源として扱ってきたが、見直しに法改正を必要としない。07年度予算では重量税の一部を一般財源にして「一歩前進」とうたう ――。11月下旬、道路関係者の多くは06年暮れの着地点をこう想定していた。安倍は唐突にアクセルを踏んだ。11月27日、ゴタゴタの末に郵政民営化法案への造反組の現職議員11人の復党を容認。支持率が急落する気配に翌朝の閣僚懇談会で道路財源問題を持ち出し「しっかりした具体案をまとめる。改革の名にふさわしい成案を得るよう尽力してほしい」と号令をかけた。

官房長官・塩崎恭久はただちに記者会見で安倍の指示を明かした上で「自動車重量税に手をつけただけで、国民が一般財源化と受け止めるかどうか、よく考えないといけない」と述べ、一気呵成に揮発油税にも切り込む構えを鮮明にした。永田町と霞が関に激震が走った。安倍はさらに畳み込んだ。30日の経済財政諮問会議で、いきなり「首相指示」を飛ばしたのだ。数日後に内閣府が公表した議事要旨によれば、こんな内容だった。

「税率を維持していくこと、一般財源化していくことは基本的な方針として既に決定されていると言ってもいいのではないか。そこで、基本的には一般財源化を進めていく、その中では、揮発油税を含めて道路財源全体を見直しの対象にしなければならない」

キーワードは2つ。「揮発油税」まで含めて「道路財源全体」を根こそぎ、使途を特定しない一般財源に転換する決意と受け止められた。

自民党内は大騒ぎになった。塩崎が安倍の名代として乗り出し、党の会議で罵声を浴びながら調整の矢面にたった。政府・与党合意の閣議決定にこぎつけたのは12月8日。冒頭に「必要な道路整備を計画的に進めることは引き続き重要な課題」とうたい、「07年中に今後の具体的な道路整備の姿を示した中期的な計画を策定する」と道路整備計画の作成までも明記したため、これでは膨らむ道路予算の歯止めになりづらいとの見方が広がった。

熟読すると「毎年度の予算で道路歳出を上回る税収は一般財源とする」「08年の通常国会で所要の法改正を行なう」としている。根こそぎの一般財源化かどうかはともかく、法改正が必要な揮発油税の扱いの変更に楔は打ち込んだとも読める。道路族も「想定した範囲内だが、その中で一番避けたかった案」とやや浮かない顔だ。ただ、安倍や塩崎が「揮発油税」を連呼したのに、閣議決定では党内の反発に配慮して「揮発油税」の文字は消し、玉虫色にせざるをえなかった。このため、メディアからは澎湃として安倍批判が沸き起こった。

諮問会議は何をどう議論したのか。11月10日、伊藤忠商事会長・丹羽宇一郎ら民間議員4人が安倍の所信通りに一般財源化すべきだという連名の提言ペーパーを提出し、国交相・冬柴鐵三がやんわりと拒否する場面が一度、あっただけだ。民間議員が具体的な制度設計を示し、国交省と突っ込んで議論を戦わす場面がないまま、いきなり「首相指示」が飛び出した。官邸主導を演出しようと目論んだ安倍-塩崎-大田ラインの取り運びだった。

経済財政担当相・大田弘子は元経財相・竹中平蔵の下で内閣府政策統括官として諮問会議の事務局長役を長く務めた。「竹中モデル」の舞台回しはこうだ。(1)民間議員ペーパーで、霞が関や「古い自民党」が受け入れがたい改革案の「高めのボール」を投げ込む(2)反対する各省大臣に対案の提示を促し、表舞台で論争を深める(3)経財相が両者の仲裁に入る格好で、部分的には譲歩もして着地させる(4)高度な政治的案件は首相が裁断を下す(首相指示)――という流れだ。民間議員が120点の「言い値」を各省にぶつけておいて「首相指示」は80点程度の合格ラインを狙い、確実に改革を推進するという手の込んだプロセスだ。

道路財源は民間議員の「高めのボール」も、大田の前捌きもなく「首相指示」に頼った。国交省や「古い自民党」が民間議員に「ゼロ回答」を突きつけ、激論の末に安倍が裁断を下していれば、最終案が同じ内容でも「ゼロ回答」を押し戻した官邸主導としてそれなりの評価を受けたかもしれない。実際は仕込み不足のまま唐突に「首相指示」を打ち出し、それが民間議員ペーパーの「高めのボール」の役割を演じてしまった。120点の案を打ち出した安倍自身が大きく譲歩してまとめた格好になったから、妥協的な姿勢に映ったのも無理はない。

「小泉流ワンフレーズ」の幻影、黙殺された会見

安倍を支える党の大黒柱、幹事長・中川秀直。12月6日付の自らのブログで、政権発足後初めて安倍官邸に2つの苦言を呈した。「安倍総理の覚悟、闘う生の姿とメッセージをいかに国民に伝えるか、官邸スタッフの課題でもあろう」「諮問会議の責任も重大である。経済成長と財政再建の好循環をつくる安倍経済政策の『筋道』が国民にはいまひとつ伝わっていない」。安倍本人への批判は慎重の上にも慎重に避けたが、首相補佐官・世耕弘成の広報戦略と、大田の諮問会議の舵取りへの厳しい叱咤である。

小泉の見立ては少し違う。道路財源問題ではこんな感想を安倍に伝えている。

「総理大臣があそこまで言うもんじゃないな」

安倍が「揮発油税」を特記して踏み込んだ「首相指示」は細かいことまで言いすぎた、という評価だ。例えば小泉は「郵政民営化」の旗印はワンフレーズで断固として掲げ続けたが、「郵便貯金、簡易保険など四つに分社化」などの制度設計は股肱の臣、竹中に丸投げし、「古い自民党」との対決の矢面に立たせた。安倍も「一般財源化」だけを強烈に打ち出し、後は塩崎でも大田でも「チーム安倍」が矢ぶすまになれば良かった、と言う含意だ。

広報戦略レベルの問題ではなく、安倍自身の判断ミスという指摘に等しい。小泉流ワンフレーズは独特の政治的直感の裏付けのもと、練りに練ったうえで発信していた。この戦略的飛び道具が今の安倍にはない。世耕の振り付けでカバーできる次元は超えている。

「真に必要な道路の予算を超える額は、揮発油税を含めて一般財源化をする。基本的には根っこから一般財源化するわけでありますが、もちろん、必要な道路は造っていくと言うのは当然であります」

安倍は19日夕の記者会見で再び「揮発油税」を明言し、蛮勇を奮う構えを強調した。道路族は再び警戒を強めるが、主要紙は安倍発言を黙殺した。官邸の発信力はそこまで低下している。道路財源改革の第2ラウンドはもう始まっている。(文中敬称略)(引用終わり)

日本で「戦略的飛び道具」に関してあれこれとある中、韓国ではすでに「すごいこと」になってなっていたのが、いよいよ「ものすごいこと」になりつつある。激震というよりも・・・・いや、収束の方向性はもはや新党結党まで見えないのではないかという話もあるので、激震という表現にしておいた方が小生のような語彙力のない人間が雑にいろいろ記す際には困らないだろう。状況のエスカレートに表現を合わせていたら表現が「とんでもないこと」になってしまいかねない。しかしこの発言で主導権争いなのかと読んでも、やはり小生のようなド素人はよく分からない。

(以下、朝鮮日報の記事より引用)
【社説】校内暴力にも似た大統領府の高建元首相たたき

最近、大統領府のホームページは、関係者の精神状態を疑わせるような内容に満ちている。その代表的なものこそ、高建(コ・ゴン)元首相に対する非難の数々だ。大統領や大統領府関係者は高建元首相に言いがかりをつけ、本人が反論すると、今度は寄ってたかって袋だたきにしている。その理不尽さは、校内暴力事件を連想させる。

盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は今月21日、平和統一諮問会議で演説を行い、「高建氏を首相に任命したのは失敗だった」とし、大統領選挙を念頭に活動している高元首相を唐突に名指しで批判した。突然後ろから頭をたたかれて黙っている人はいない。高元首相は大統領の行動が「自らを否定するものであり、自己矛盾している」と反論した。

すると大統領府は記者会見で「高元首相がここまで迅速かつ明白に何らかの意思表示をするのを見たのは初めてだ。本当にそう考えての発言なのか、政治的な利害打算のためなのか、気になるところだ」とした。大統領府の関係者はまた「首相時代の高建氏は、社会的な懸案について決断を下すことができず、会議のみに終始したとし、『委員会だけの首相』だった」と語った。大統領府が完全な人身攻撃を開始したのだ。

大統領は一日前にも、「わたしは彼のことを悪く話したことはない。(高元首相が)謝罪した方が良いのでは」と語っていた。この発言で大統領が高元首相を指して「彼」としたのも、適切とは言えない。いくら大統領の下で首相を務めた人物とは言え、現在一般人の身分でいる年長者に対し、あまりに失礼な表現だ。

盧大統領は問題の民主平和統一諮問会議での演説で、「胸章をつけてやれ国防長官だ、参謀総長だと偉そうに振る舞ってきた」、「兵役は(青春の)浪費だ」とし、軍の元幹部らを侮辱した。大統領はまた「(在韓米軍が出て行けば)みな発作を起こす」、「死んでしまうかのように震え、恐れおののく」と語って国民を愚弄(ぐろう)し、「西学(天主教)の信者が数百人単位で弾圧にあって殺され、1866年には8000人もの人が犠牲となった。韓国はそういう国」とし、民族の歴史を踏みにじり、「米国の国務省と財務省が(北朝鮮政策で)グルになってイカサマ賭博をしている」とて同盟国を痛罵(つうば)した。

大統領のこの発言が興奮状態から出た偶発的なものなのか、緻密な政治的計算を秘めた政治工作の一環なのかは、知るべくもない。lただ、メモを用意して臨んでいたのを見るかぎり、単なる偶発的な発言とは考えにくい。

事情はどうであったにしろ、盧大統領に侮辱された各界各層の国民は大統領本人の謝罪か釈明を望んでいる。しかし当の大統領は発言から4日が過ぎても、一言の謝罪や釈明も行っていない。大統領府は謝罪の代わりに、大統領の発言の中から身内の目にも恥ずかしく思われるような部分だけを念入りに取り除いたり編集したりした文書を大統領府のホームページに掲載した。

その一方で高建元首相に関してだけは、大統領以下、大統領府の全関係者が総出で、あたかも街の不良集団が袋だたきを行うかのような勢いで個人攻撃を行っているのだ。 (引用終わり)

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