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2006年7月29日 (土)

8→10、変わるASEAN方式?

8と言われていたが、10になった会合。ARF議長国マレーシアと小泉総理がグレースランドの前に訪れた、新政権となったカナダ、イラクにおいてムサンナ州で治安活動にあたるオーストラリア。そこに、ニュージーランドとインドネシア。6者協議を代替するものではないとのことだが、明らかに北朝鮮の問題が広がりを持ち始めている。

(以下、時事通信の記事より引用)
ARF閣僚会議が開幕=午後に関係10カ国会合も開催

【クアラルンプール28日時事】アジア太平洋地域の安全保障問題などを話し合う東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)の閣僚会議が 28日午前、クアラルンプールで始まった。北朝鮮の核問題を中心とする朝鮮半島情勢とイスラエル軍の攻撃激化で悪化するレバノン情勢が最大のテーマとなる見通し。同日夕には議長声明を発表して閉幕する。

ARFはASEAN加盟10カ国と日米中ロや南北朝鮮など域外16カ国・地域で構成。今回からバングラデシュが新たに加わった。ASEAN以外では、日本の麻生太郎外相をはじめ、ライス米国務長官、李肇星中国外相、潘基文韓国外交通商相、北朝鮮からは白南淳外相が出席。

6カ国協議復帰を拒否し続けている北朝鮮に対しては無条件での協議復帰を求める意見が続出するとみられる。また、レバノン攻撃を継続するイスラエルに批判的な意見が大半を占めると予想される。

一方、6カ国協議メンバーのうち北朝鮮を除く5カ国とマレーシア、オーストラリア、カナダの8カ国が28日午後に開く予定だった外相会合は、インドネシアとニュージーランドが加わることになり、10カ国外相会合となった。クアラルンプールで同日午後2時45分(日本時間同3時45分)から開かれ、北朝鮮の核・ミサイル問題について協議する。(時事通信)- 7月28日15時1分更新(引用終わり)

毎日新聞にはこうした10カ国協議が行われ、ARF議長声明で北の問題が明確に入れ込まれたことをどう見るかについての専門家の方の見解が掲載されている。内政不干渉と各国が出来ることを段階的に実施していこうということを確認しコンセンサスを重視する対話のASEAN方式とは変わりつつある、別の意味での対話の場となりつつあるのだろうか。

(以下、毎日新聞の記事より引用)
ASEAN:ARF 「回廊外交」機能せず 北朝鮮、対米直接対話に固執

東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)は28日、北朝鮮の核開発・ミサイル発射問題の解決や6カ国協議への復帰に向けた成果を上げることができないまま閉幕した。94年に「アジア太平洋地域の政治と安全保障を話し合う多国間協議」として発足したARFだが、最もホットな話題の解決には機能を果たせないままで、その限界を露呈した形だ。日米とは一線を画し、北朝鮮に一定の理解を示してきた韓国の外交姿勢へも影響を与えそうだ。【クアラルンプール大澤文護】

◇動かない外相

北朝鮮は00年、ARFに初めて参加した。議長国だったタイのスリン外相(当時)は、北朝鮮の白南淳(ペクナムスン)外相との初会談で、ARFの意義を「回廊外交」にあると説明した。ARFは政策決定の場ではない。参加各国が関心を持つさまざまな問題について率直に話し合える機会を提供し、誰が誰とどんな話をするかには関与しないのが特徴だ。会場を歩きながら、相手を見つけては話し合いを繰り返す交渉スタイルの中から、成果を得ようという狙いだった。

しかし、今回会議で北朝鮮代表団は「回廊外交」の機会さえ避けた。体調悪化を伝えられる白外相は、会議場内で動き回らず、隣の席に座った中国代表団ともわずかに言葉を交わしただけ。また、記者団に対して白外相が直接発言する機会はなく、代表団スポークスマンが「米国との接触はない。6カ国協議には復帰できない」と言い続けた。

◇制裁解除が先

北朝鮮は今年、洪水による大きな被害を受けた。北朝鮮は90年代にも、数年間連続で洪水被害に見舞われ、深刻な食糧危機に陥った。その直後、北朝鮮は積極外交に転換し、欧州、アジア各国との修好を実現させた。当時、北朝鮮は「外交の多角化を経済・食糧問題の根本的な解決に結びつける新たな対外交渉の舞台を探していた」(日本の朝鮮半島問題専門家)といわれ、00年のARF参加を決意した。

しかし、その後の国際情勢は、北朝鮮の思惑通りに進まなかった。米国との対話進展なしでは、各国との外交関係の強化は進まず、支援獲得にも限界があった。

米国との対話進展の必要性を痛感した北朝鮮は外交方針を再転換した。今回のARFで「米国の経済制裁解除がなければ6カ国協議への復帰は有り得ない」と、執ように主張し続けたのも、米国以外とは意味のある対話はしないというメッセージだった。ARFでの多国間協議への参加を拒否したのも、6カ国協議以外の場所で北朝鮮の核開発・ミサイル問題を討議すれば、米国との直接対話の道を自ら放棄することにつながるためだった。

◇韓国に影響大

今後、米国が各国に制裁実施を求めた場合、最も大きな影響を受けるのは韓国だ。

韓国の聯合ニュースによると、米国は韓国政府に対し、すでに、大量破壊兵器などの拡散防止構想(PSI)への、より積極的な参加を要請してきた。さらに、北朝鮮の開城工業団地や南北軍事境界線に近い北朝鮮側の金剛山観光に対する補助の再考なども求めてきたと報じている。

韓国政府は米国の要請に対し、これまで「南北関係を考慮し、適切に対応する」と述べ、北朝鮮に対する圧力を急激に高める政策には関与しない姿勢を示してきた。

しかし、今回のARFが成果なく終わったことで韓国に対する批判や圧力が高まり、韓国政府が米国の要請に応じざるを得ない状況になれば、北朝鮮は国際的孤立を深め、最近の豪雨被害で心配される食糧難の解決も困難になるだろう。

◇北朝鮮に「柔らかな圧力」も--黒柳米司・大東文化大教授(ASEAN研究)の話

最近のARFは、ミャンマーの人権問題で十分な政治圧力をかけられずにいることから、影が薄い印象がある。昨年は米国のライス国務長官は参加すらしなかった。

議長声明で北朝鮮のミサイル発射に懸念を表明したことは、ASEANが内政不干渉の原則から軌道修正を図っていることの一つの表れだ。アジア太平洋地域の国際世論を北朝鮮にアピールすることで、ARFを再活性化しようという狙いもあるのではないか。

米国主導の国連安保理に比べ、北朝鮮への理解もあるASEANメンバーが中心のARFで、こうした声明が出たことは、北朝鮮にとっては安保理決議以上に不本意だろう。6カ国協議は実現しなかったが、北朝鮮の後ろ盾の中国も参加し、北朝鮮抜きの10カ国の外相会合まで開かれた。北朝鮮はこうした「柔らかな圧力」を重く受け止めるべきだ。

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●ARF12年のあゆみ●

1994年7月 バンコクで初の閣僚会合。主に北朝鮮の核疑惑を議論し、毎年開催することを決定

  95年8月 カンボジアが新たに参加。東南アジア非核地帯の推進を決め年末の条約調印へつなげる。信頼醸成、予防外交、紛争解決の3段階の目標を設定

  96年7月 インド、ミャンマーが新たに参加

  98年7月 モンゴルの新規参加に合意

  99年7月 議長声明で北朝鮮のミサイル活動に懸念を表明

2000年7月 北朝鮮が新たに参加

  02年7月 閣僚会合に先立ち、国防・軍事当局者会合を初開催。テロ資金対策に関する議長声明を全会一致で採択

  03年6月 北朝鮮の日本人拉致問題を初めて議論し、脱退した核拡散防止条約への復帰を求める

  04年7月 パキスタンが新たに参加

  05年7月 東ティモールが新たに参加。信頼醸成から予防外交段階への前進を確認

  06年7月 バングラデシュが新たに参加

毎日新聞 2006年7月29日 東京朝刊(引用終わり)

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