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2006年7月 7日 (金)

ミサイル発射から考えさせられる、集団的自衛権と警報伝達体制と宇宙開発と文部科学省に関する2005年の記事

(以下、産経新聞の記事より引用)
日米迅速な情報共有を 北ミサイル発射 発射10分…空白/「集団的自衛権行使」カベ

北朝鮮が発射したミサイルをめぐり、自衛隊と米軍の連携は迅速かつスムーズだったのか-。軍事情報は秘匿が当然で、米軍が全情報を日本側に伝えていないことは事実。その前提に立てば、比較的スムーズだったといえそうだが、リアルタイムで米軍情報を受け入れるシステムが整っていない点は安全保障上深刻な欠陥だ。(野口裕之)

「あのときは、イージス艦でつかんだ弾道ミサイルの方位や距離、高度などの3次元情報を自衛隊中枢に、いちいち商業衛星回線を使って『声』で伝達していた」

ある政府関係者はこう振り返る。「あのとき」とは、テポドン1号が日本列島を越えた平成10年夏のことだ。今、ようやく海上自衛隊のイージス艦と自衛隊中枢の間だけは、3次元情報のやりとりが自動的にできるようになった。

だが、日米の連携は優れて迅速とはいえない。

米軍の早期警戒衛星が感知するミサイルからの赤外線情報はいったん、米本土を防衛する北方軍司令部や米海軍のイージス艦、国防総省、在日米軍司令部などに入る。そうした米軍の拠点内では航跡や高度、位置などが「1枚の絵(共通作戦状況図=COP)」となって、コンピューター画面に映し出される。早くもこの時点で、米軍は関係する全拠点で「1枚の絵」を共有している。

防衛庁に入るのはその直後で、さらに海自のイージス艦には、防衛庁経由でもたらされる。

日米のイージス艦はともに「リンク16」と呼ばれる大容量の戦術交換システムを搭載し、本来なら艦同士の情報交換も可能だ。

それならば、早期警戒衛星→米イージス艦→海自イージス艦という情報伝達が理想的だ。だが、自衛隊と米軍の信頼性がいかに高くても、有事はともかく、“平時”の弾道ミサイルの情報伝達はまだ、理想の域に達していない。

現システムでは、ミサイル発射から日本に情報が伝わるまでに、10分弱かかることもあるという。北朝鮮からの弾道ミサイルは日本まで10分以下で到達する。

当然、情報を一方的に米軍側に頼っているわけではない。着弾地域に最も近かった海自イージス艦は今回、7発のミサイルのうち数発の航跡をとらえた。一方で、青森県の航空自衛隊基地に配備された米軍の移動式早期警戒レーダー(Xバンドレーダー)は相当量の航跡をとらえたが、完全なものではなかった。日米が持つ情報を統合して初めて完璧(かんぺき)になるのだ。

問題なのは米軍側の情報統制より、「1枚の絵」を米軍と共有できるシステムの構築が、予算や集団的自衛権行使といったさまざまな課題のために阻まれ、国全体としての取り組みが遅れている点だ。

そうした逆風の中、ミサイル防衛(MD)体制の今年度末からの導入に合わせ、米軍と自衛隊による「統合共同作戦センター」を米軍横田基地に設置する計画に期待がかかる。センターに備わる統合共同指揮統制システム機能が稼働すれば、早期警戒情報は国や陸海空の軍種を超え、日本国内の米軍や自衛隊がリアルタイムで共有でき、迎撃を行うイージス艦やミサイル部隊にも同時に伝達される。拠点・部隊間は、高性能で安全なネットワークで結ばれるはずだ。

「1枚の絵」は日本の命運を担っている。【2006/07/07 東京朝刊から】(07/07 08:53)(引用終わり)

(以下、Sponichi Annexの記事より引用)
漁業関係者 安全確保要請文を送付

日本海側の漁業関係者にも衝撃が走った。生活源の海にミサイルを撃ち込まれ、北海道漁業協同組合連合会は「安全操業が脅かされるのみならず、漁業者、家族の人命にかかわる問題。強い憤りと大きな不安を抱いている。政府は北朝鮮に抗議するとともに、安全確保に対策を講じてほしい」とする要請文を安倍官房長官と、麻生太郎外相に送った。宮城漁連など、各漁協も同様の措置をとった。

現在、日本海側はスルメイカ漁の最盛期。ミサイルが発射された時間帯、船は漁を終えて港に戻る途中だった。漁場と着弾場所が離れており関係者に混乱はなかったが、北海道・松前さくら漁協の近江武さんは「ミサイル発射が頻繁に起こるようであれば、今後の対応を考えなければならない。8月にはロシア領海に出漁する船がある。時期が遅かったら…ぞっとする」と肩をすくめた。また、秋田・男鹿半島で釣具店を営む男性は「ミサイル発射を知り、予定していた釣行を見合わせた客もいた。いつ、どこに飛んでくるか分からないので不安だ」と話した。

≪船舶への警報に遅れ≫北朝鮮のミサイル発射を受け、国土交通省は5日午前、ミサイルが落下した日本海などを航行する船舶や日本の空域を飛行する航空機に対し、警報や注意報を出した。しかし、ミサイル発射の一報や着弾点の情報がなかなか国交省に伝えられなかった上、省内での対応にも手間取り、船舶などへの警報は1発目の発射から5時間前後かかるなど対応が遅れた。

海上保安庁が警報を出したのは午前8時53分。海保は「着弾点の情報が入らず、警報の対象地域が特定できなかった」とした。

また、国交省航空局によると、首相官邸から発射の一報があったのは午前4時50分ごろ。ただ、航空機への注意情報の一報が出たのは午前8時21分。注意情報は同9時4分まで計4回にわたったが「注意情報の内容を検討するうちに事態が進んでしまった」(同局担当者)という。

国交省によれば、航空機や船舶に被害は出ていないというが、5時間の遅れは大惨事につながりかねない。初代内閣安全保障室長の佐々淳行氏は「遅くても2時間で民間に届かないと」と政府の危機管理の甘さを指摘した。[ 2006年07月06日付 紙面記事 ](引用終わり)

(以下、日本経済新聞の記事より引用)
対テロでの日米ミス・マッチングと日本の情報収集体制(7/4)

日米同盟は今、かつてないほど緊密になっている。多くの日米両国政府関係者は口を開けば、そう強調する。特に、イラク戦争以降、米国の日本に対する信頼レベルは明らかに数段向上した。もちろん、米英、米豪、米・ニュージーランドなど、いわゆるアングロサクソン連合の輪には今一歩及ばないというのが実情だろうが、それでも日米両国には永続的な二国間同盟に不可欠な「信頼」という名の魂が外交、防衛のそこかしこで着実に宿りつつある。

だが、残念ながらそれにも例外はある。米同時テロ以来、国際社会が直面している新たな脅威、すなわち「テロの恐怖」への対応である。

テロ対策に及び腰と目されている文科省

ブッシュ米政権は同時テロの教訓を踏まえ、新たに国土安全保障省を創設。沿岸警備から入国管理まで一貫してにらみを利かし、米国内でのテロ実行を企てる国際テロ組織、協力者の摘発、壊滅に力を注いでいる。しかし、同時テロを実行したイスラム原理主義組織「アルカイダ」のように多くのテロ組織は実体らしい実体をもたない鵺のような存在であり、米国だけで対抗するのは不可能に近い。

そこでブッシュ政権が目を向けているのが英国、豪州などとの「アングロサクソン同盟」に加え、それに準ずる位置に付いたと見ている日本だった。対テロ政策を総括する米国の国土安全保障省が日本に望んでいるのは、人、モノ、金の流れに関する情報の共有であり、それらを正確、かつ迅速にトラッキング(追跡)するための最新技術である。ところが、ここに落とし穴があった。これらを担当しているのが外務省や防衛庁、あるいは国土交通省ならまだ話が早かったかもしれない。しかし、実際に米側が協力を仰ぎたいと思っている相手は外交や安全保障といった世界からは身を遠ざけている文部科学省だったのである。

「とにかく、文部科学省のアレルギー反応が強すぎて困っている……」。ある米政府関係者は水面下で進めている対テロでの日米協力交渉の実態について、そう漏らす。

文部科学省にも言い分はある。たとえば、文部科学省が管轄する日本の宇宙開発のシンボル、「H2Aロケット」について、米国の一部には「少し、弾道を変えれば立派な大陸間弾道ミサイル(ICBM)になる」と本気で論じる声がある。日本初の国産スパイ衛星についても米国防総省、国務省の関係者らは「日本の宇宙産業を育成するためのもの」と冷ややかに見る空気も根強い。とにかく、痛くない腹など探られたくない。だから、テロ対策での日米技術協力などもやりたくない。そうした空気が省内では支配的となり、それが米国には「日本全体が対テロでの協力に及び腰だ」と映っているようだ。

重要な対外情報は全て「インテリジェンス」

文部科学省と国土安全保障省のすれ違いの根底には、安全保障、あるいはインテリジェンスというものに関する日米間の認識ギャップが依然として存在しているように見受けられる。

北朝鮮の核危機や拉致問題以降、日本でも対テロに限らず、重要な対外情報を「インテリジェンス」として重視する空気が少しずつ強まっている。あまり知られていないことだが、町村信孝外相は最近、密かに日本の対外情報機関を統一するための懇談会を省内に設置。大森義夫元内閣情報調査室長らをメンバーに迎え、「日本に望ましい対外情報収集組織とは」というテーマで議論を重ねている。とはいえ、これはまだ小さな一歩に過ぎない。対外情報収集体制の見直し、あるいは改善といったテーマは日本国民の安全を脅かすテロの防止という課題に直結する重要な案件である。これは本来なら小泉内閣が政府をあげて取り組まなければならない課題だが、残念ながら現時点でそこまでの姿勢は見えていない。

ブッシュ大統領は世界中で起こっている様々な出来事について毎日、「インテリジェンス・ブリーフィング」という名目で政府中枢から詳細な説明を受けている。クリントン政権まで、その役目は中央情報局(CIA)局長が一人で請け負っていたが、現在は「ネグロポンテ情報長官、ゴスCIA長官に加え、国土安全保障省のシャートフ長官もこれに加わり、対米テロ計画の情報について大統領に直接、説明している」(米政府筋)という。

現在、日本には「国土安全保障省」のような組織はない。あえて言えば内閣府の危機管理監や内閣情報官が符号するのだろうが、組織の大きさや守備範囲から言って、完全なカウンターパートとは言いがたい。そこに対テロ協力における日米間の「ミス・マッチング」を生み出す構造的な問題がある。

昨年十一月、わが国初の国産スパイ衛星誕生の経緯についてインタビューした際、町村外相はこう答えている。

「現在の世界情勢はテロ、核開発、大量破壊兵器の拡散問題など新しい問題が山積している。そうした情勢をにらみ、日本としてもきちんとした情報収集体制を整備しておかないといけない。今からでも遅くはないと思っている。その上で、各国との情報交換ができることが望ましい」(拙著「誕生 国産スパイ衛星」日本経済新聞社刊より)

対テロで米国とどこまで協力体制を築くのかについてはなお、議論の余地もあるだろう。米国と自動的に協力すれば、それだけ潜在的なテロリストに狙われる恐れも強くなる。中国や北朝鮮など近隣諸国も一層、日米同盟に警戒を強めるかもしれない。それでも、日本が独自の安全保障政策の一環として、この問題に本腰を入れて取り組む必要があるという事実に議論の余地はないように思われる。(引用終わり)

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