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2006年5月 1日 (月)

合衆国大統領の面会(2)「安倍-斎木ライン」の官邸-外務省で実現した「安倍サプライズ」に加えて経済制裁を、ハンミちゃん一家の姿や韓国報道から見える米韓の乖離

2006年4月29日 (土)づけのエントリーを合衆国大統領の面会(1)として、引き続き、横田早紀江さんが大統領との面会を果たしたというニュースに関して。

横田早紀江さんが合衆国大統領と面会を果たした。どうやらそこには、安倍官房長官が斎木駐米特命全権公使とのラインといわれるようなつながりを駆使し、そして加藤駐米大使も加わり精力的な活動を行い「小泉サプライズ」があるとすれば「安倍サプライズ」とも言えるものがあった。

そして、4月29日に大統領の面会はアメリカ国内向けではなくアメリカは人権を抑圧する圧政国家を許さないという国外に向けたメッセージであるのではないかと記した。その中で、ハンミちゃん一家は中国のいかに脱北者を迫害してきたかを示すものだと書いたが、どちらかといえば韓国政府の姿勢を非難するものなのではないかと考えさせられる記事が多い。レフコウィッツ公使の発言、韓国に定住する脱北者のアメリカへの亡命というニュース、改めて、北朝鮮を巡っての米韓の利害は全く異なったものであるということを見せつけられた。

まずは、「安倍サプライズ」そして「安倍-斎木ライン」。斎木昭隆公使といえば、アジア大洋州局参事官から転出いうことが報じられた際には、拉致問題がこれでどうなってしまうのかと感じてしまったが、どうやら外務省も官邸も拉致問題に対して一歩も引かないだけの体制はできあがっていた。そして、安倍官房長官の北朝鮮関係で動きは活発なものでもある。今回の面会が実現したことで、アメリカに比べて日本は・・・・という声が多いのは、アメリカのように歩を一歩前に進め断固として経済制裁など断固たる処置を行うべしといった世論の裏返しなのではないか。

(以下、東奥日報の記事より引用)
横田早紀江さん、米大統領と面会/「破格の厚遇」へ政府動く

北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの母、早紀江さんらとブッシュ米大統領がワシントンで面会した。秋に中間選挙を控え、「圧政国家」と戦う姿勢を国内外にアピールしたい大統領と、北朝鮮への圧力を強めたい日本側の思惑が合致、「破格の厚遇」実現へ日本政府関係者らが動いた。大統領への手紙で「あなたのご支援がどれだけありがたいか、分かっていただきたいのです」と訴えた早紀江さん。大統領は拉致問題の解決に向け「働き掛けを強めたい」と約束した。大統領面会は、問題解決に向けたさらなる「大きな動き」(早紀江さん)につながるか。

▽ハードル

「ブッシュ大統領に会いたい」

早紀江さんは訪米を決めた三月中旬、内閣府の拉致被害者連絡室担当者からワシントンで面会を希望する相手を聞かれ、そう答えた。

日本政府にとっても、面会が実現すれば、拉致問題を世界に訴える絶好の機会となる。被害者家族会に近く、対北朝鮮強硬派として知られる安倍晋三官房長官―斎木昭隆駐米特命全権公使のラインが動きだした。

ハードルは高かった。米側は当初「大統領は被害者本人でなければ会わない」と回答した。

「早紀江さんも被害者だ」。安倍氏は四月十九日、知己のハドリー米大統領補佐官に電話でこう訴えた。安倍氏は大統領と親しいシーファー駐日大使にも仲介を依頼。大使はテキサス州出身で、同州を地元とする大統領と大リーグ球団テキサス・レンジャーズを共同経営するなど、親友の間柄だった。

ワシントンでは斎木氏が加藤良三駐米大使らと連携し、クラウチ大統領副補佐官に「大統領に会ってもらえないか」と要請。クラウチ氏から「面会OK」の回答が返ってきたのは十九日、安倍氏との電話だった。

▽1冊の本

大統領が外国の一市民をホワイトハウスの執務室に招くのは極めてまれだ。

大統領が北朝鮮と金正日総書記に強烈な嫌悪感を抱くきっかけになった本がある。「平壌の水槽」。北朝鮮脱出住民(脱北者)の姜哲煥(カン・チョルファン)氏が、北朝鮮の強制収容所での体験を詳細に伝えた本だ。

昨年六月、大統領はホワイトハウスで姜氏に面会した上、「すべての米国人がこの本を読んでほしい」と語った。これが、早紀江さんらとの面会の伏線になっていた。

今年一月からの政権二期目の外交課題に据えたのは「民主化の拡大」。人権問題を抱える国家への“挑戦状”だ。

大統領には、おひざ元の事情もある。

大統領選でブッシュ氏当選の原動力となったキリスト教右派は、こうした人権擁護を強力に訴えている。支持率が30%台半ばと、過去最低水準に落ち込んだ大統領としては、支持勢力に配慮し、人権問題に取り組む姿勢を示す必要もあった。

▽包囲網

北朝鮮が今回の面会に反発するのは必至だ。北朝鮮の核問題をめぐる、同国や日米などの六カ国協議の中断が長期化する要素がまた一つ増える。

しかし外交筋は「ブッシュ政権は金正日体制にうんざりしている。動かない六カ国協議に、余計なエネルギーを使いたくないと思っている」と指摘。大統領の頭の中には六カ国協議への影響への懸念はないと断言する。

大統領は早紀江さんらに加え、中国・瀋陽の日本総領事館駆け込みで注目を集めた北朝鮮脱出住民のハンミちゃん一家も執務室に招いた。これにより、北朝鮮を擁護し「価値観を共有できない中国」(日本政府筋)への不信感をも示した。

日本では二十八日、拉致問題などが改善されなければ、政府に経済制裁を義務付ける法案を自民、公明両党が衆院に提出。今回の大統領面会を機に、北朝鮮包囲網がさらに強まりそうだ。(引用終わり)

そしてブッシュ大統領の面会はどういう影響が及んでいくのかと言うことに関しての記事。
(以下、毎日新聞の記事より引用)
北朝鮮・拉致問題:ブッシュ米大統領、圧政国家批判アピール 拉致へ関心高める

【ワシントン西脇真一、笠原敏彦】ブッシュ米大統領が28日、北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの母早紀江さん(70)や韓国在住の脱北者らと面会することは、「圧政の終結」を大きな目標に掲げる大統領が、その被害者らと重ねている対話の一環だ。大統領が個人的な関与を示すことで、拉致問題への国際社会の認識と関心を高める効果が期待される。

ブッシュ大統領は昨年6月、北朝鮮の強制収容所体験を持つ姜哲煥(カンチョルファン)氏=現韓国紙・朝鮮日報記者=に面会。その後も、ミャンマー人女性難民、民主化運動家の夫を亡くしたベラルーシ人女性らをホワイトハウスに招待している。いずれも3月に改訂された外交政策文書「米国家安全保障戦略」が「圧政国家」に名指しする7カ国の一角だ。

ブッシュ大統領は、個別問題に「人間の顔」を持たせて国際社会に懸念をアピール。「自由と民主主義」の拡大路線に支持を集める象徴的な存在になることへの期待があると見られる。また、米政府当局者は「大統領が個人的な関与を示すことは問題への取り組みを活性化する」と指摘する。

例えば、昨年10月31日のミャンマー人女性難民との面会後、米国はミャンマー人権問題での外交攻勢を強めた。大統領自身が11月、韓国・釜山でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)で各国に問題の重要性を訴えたほか、12月に米国はミャンマー問題を初めて国連安保理での論議に持ち込むことに成功している。

米国の対北朝鮮政策の軸足は、核問題に置かれている。しかし、ブッシュ大統領は、「キリスト教的道徳観を背景に金正日体制を倒したい」(米朝関係筋)と考えているとされる。横田さんらとの面会は、大統領の持つ対北朝鮮観を一層強めそうだ。拉致被害者の家族会や支援団体・救う会は、機会あるごとに「ブッシュ大統領に面会したい」と働きかけていた。毎日新聞 2006年4月28日 東京夕刊(引用終わり)

アメリカの韓国に対するメッセージの前に、韓国ではこの面会がどう伝えられているのかということを朝鮮日報の記事を見ていくが東奥日報の記事と毎日新聞の記事と共通するキーワードがあるが、韓国ではそのキーワードがより鮮明に現れているのは韓国社会の一側面を反映している。

(以下、朝鮮日報の記事より引用)
ブッシュ大統領、脱北者らと面談

ブッシュ米大統領は4月28日午前(現地時間)ホワイトハウス執務室で行われた脱北者および日本人拉致被害者家族との面談の席で、北朝鮮の人権問題に対する関心と改善の意思を明らかにしたと参加者らが伝えた。

この面談でキム・ソンミン北朝鮮自由放送局長は金正日(キム・ジョンイル)総書記に対し、「キリスト教信者として許すことのできないサタン(悪魔)であると考える」と述べると、ブッシュ大統領は「強いメッセージとして受け止める」と話したとキム局長は伝えた。また、キム局長の「脱北者を助けてほしい」という要望にブッシュ大統領は「あなたが米国の大統領であったならどうするか」と問い返し、キム局長は「中国にいる脱北者を米国が受け入れ、北朝鮮人権法を早急に実施して、北朝鮮民主化の原動力にする」と答えたという。

これに先立ちブッシュ大統領は脱北者キム・ハンミちゃん(7)家族が入ってくると、ハンミちゃんを抱き上げ、ハンミちゃんは「サランヘヨ」と言ってブッシュ大統領のほおにキスをしたと参加者らは伝えた。ブッシュ大統領はハンミちゃんを自分の横の副大統領の席に座らせた後、ハンミちゃん家族が脱北の過程で経た苦労と北朝鮮の実情について聞いたという。

ハンミちゃんはこの日、ブッシュ大統領の顔を描いた絵の下に「ありがとう、ブッシュ大統領おじいちゃん。キム・ハンミ」と書きプレゼントした。また、中国瀋陽の日本総領事館に脱出したときの写真、脱北者と北朝鮮住民を助けてほしいという内容が書かれた手紙などを渡し、ブッシュ大統領は帽子、キャンデーなどをお返しとしてプレゼントした。

ブッシュ大統領は「ハンミちゃんらに会えたのは光栄なこと」とし、「今日の出会いは大統領就任以降、最も感動的なものだった」と話した。また「わたしは北朝鮮の人権改善と自由増進に全力を尽くすことを誓う」とし、「米国の大統領として、人権と自由のない北朝鮮住民のため最後まで頑張る義務がある」と話したと同席者らは伝えた。

また、日本人拉致被害者の横田めぐみさん事件と関連、「一国の指導者が幼い子どもの拉致を命じるなど想像さえ難しいが、このようなことが実際にこの母親(横田早紀江さん)に起こった」と話した。

この日の面談には北朝鮮の政治犯収容所の惨状を描いたミュージカル「ヨドク・ストーリー」のチョン・ソンサン監督と、1977年に日本で誘拐された横田めぐみさんの母横田早紀江(70)さんも出席した。このほか、ジェイ・レフコウィッツ米・北朝鮮人権問題特使、加藤良三駐米日本大使らも同席した。(引用終わり)

そして、中央日報もまた先日のエントリーで朝鮮日報から引用してきた内容と同じ印象を抱いているようだ。ただ、この中央日報の記事によると、公聴会に向けてはワシントンの日本大使館が精力的に動いていた姿が見えてくる。
(以下、中央日報の記事より引用)
<取材日記>韓国人除いたブッシュ大統領の脱北者面談

ジョージ・ブッシュ米国大統領が先月28日、ホワイトハウスで脱北者キム・ハンミちゃん(7)家族に会う席に韓国特派員たちは入れなかった。共同通信など日本の特派員たちだけ立入が許可された。

ホワイトハウス側は「ブッシュ大統領が昨年、脱北者カン・チョルファンさんと会った日が『韓国の日』だったら今日は『日本の日』と思ってくれ」と了解を求めた。しかしブッシュ大統領が面談したのは韓国人が5人(ハンミちゃんと親、チョン・ソンサンミュージカル監督、キム・ソンミン自由北朝鮮放送局長)である一方、日本人は2人だけだった。拉北被害者の横田めぐみさんの母早紀江さんとめぐみさんの弟の拓也さんだった。5対2だったが、この日の主人公は2人の日本人だった。

ブッシュ大統領は30分間の面談を行い、北朝鮮のめぐみさん拉致に非難を集中した。「一国のリーダー(金正日)が子供(めぐみさん)の拉致を助長したということは信じ難いこと」「北朝鮮はこのお母さんと愛する娘を引き離す非情なことをした。早く娘をお母さんのもとに返さなければならない」。ワシントンポストなど主要言論のヘッドラインは一斉に「ブッシュ大統領、拉北日本少女のお母さんに会う」だった。ハンミちゃんの話は見つけにくかった。

面談に加藤良三駐米日本大使が陪席したことも、この日の出会いが日本版だったことを立証した。加藤大使が率いる駐米日本大使館はワシントン政界に日本人拉致被害者問題を公論化するため、昨年から情熱的に活動を繰り広げてきた。先週、米下院が初めて日本人(早紀江さん)を立ち会わせ拉北者聴聞会を開いたことや、ブッシュ大統領が早紀江さんと会ったのはすべてその成果だ。

早紀江さんはホワイトハウス訪問に先立って日本の外務省と駐米大使館の積極的な支援のもと、米国家安全保障会議(NSC)高位関係者らに相次いで会い、知られるようになった。

一方、政府の関心の薄さから、ワシントンまで来た韓国の脱北者と拉致被害者たちはスポットライトを浴びることができなかった。北朝鮮人権問題に関する限り駐米韓国大使館は言葉数が少なくなる。政府の指示のためだろう。「我々も北朝鮮の人権状況は懸念するが…」で始まるような言葉ばかりを繰り返す。ホワイトハウスが5人の韓国人を招待しながら、大使館関係者を陪席させないのはこの言葉に聞きあきたからかもしれない。(引用終わり)

よくよく考えてみれば、脱北したハンミちゃん一家の姿を見て、在瀋陽日本総領事館の門の前で自由を求める家族を強硬に圧政国家に送り返そうした中国の武装警官の姿-絶望の表情で泣く幼子の目の前で、その幼子を自由な社会の中で育てようと必死にもがく一人の母親を二人がかりで取り押さえる中国の武装警官の姿-を報道の自由のない中国で思い出すということは困難であるが、韓国はそうではない。確かに中国のそうした姿勢に憂慮するというメッセージもあるが、その脱北者・韓国の拉致被害者に対しても冷淡な韓国政府により憂慮し、そうした韓国とアメリカは違うと言うことを鮮明にしているようにも思える。

そうしたアメリカの北朝鮮問題にどう取り組むのかというメッセージを韓国に伝えたキーパーソンを一人挙げるとするなら、レフコウィッツ合衆国北朝鮮人権特使である。韓国の対北支援策には反対であると姿勢を明確にしている。それについては、合衆国大統領の面会(3)で。

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